ソフトバンクグループ(SBG)が11日に発表した2025年9月中間連結決算は、純利益2兆9240億円と中間期として過去最高を更新しました。
前年同期比2.9倍という驚異的な伸びを支えたのは、米オープンAIなどAI関連企業への積極投資です。
投資事業が牽引する「AI資本戦略」は、同社の収益構造を根本から変えつつあります。
この記事では、SBGの決算内容、背景、そして今後の投資戦略を時系列で整理・解説します。
前年同期比2.9倍という驚異的な伸びを支えたのは、米オープンAIなどAI関連企業への積極投資です。
投資事業が牽引する「AI資本戦略」は、同社の収益構造を根本から変えつつあります。
この記事では、SBGの決算内容、背景、そして今後の投資戦略を時系列で整理・解説します。
point
・中間決算で純利益2.9兆円、過去最高を更新
・オープンAI投資で2兆円超の利益を計上
・保有していたエヌビディア株を約9000億円で売却
目次
純利益2.9兆円で中間期過去最高 AI投資が主因
ソフトバンクグループの2025年9月中間決算は、純利益2兆9240億円。 前年同期の約1兆円から3倍近い成長を遂げました。 これは中間期としては過去最高であり、AI関連投資が爆発的な利益を生んだことを示しています。特に、同社が主導する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が好調。 米オープンAIを中心としたAIスタートアップ群の企業価値上昇が収益を押し上げました。
オープンAI投資で2兆円超の利益を計上
決算では、オープンAIへの投資利益として2兆1567億円を計上。 これはSBGの利益全体の約7割を占める規模であり、AI分野への先行投資が功を奏した形です。後藤芳光専務は会見で「オープンAIへの投資価値はぐんぐん成長している」と述べ、 AI時代の“基幹インフラ企業”への期待感を強調しました。 さらに、12月には約3兆4700億円(225億ドル)の追加投資を予定しています。
エヌビディア株の全売却で資金循環を加速
ソフトバンクGは、保有していた米半導体大手エヌビディア株を10月に全株売却。 売却額は58億3000万ドル(約9000億円)に達し、売却益の一部はオープンAIへの再投資に充てられます。エヌビディアは生成AI関連の需要拡大を背景に株価が急上昇しており、 このタイミングでの利益確定は、SBGの資産運用戦略の柔軟さを象徴しています。
AI関連企業中心のポートフォリオ転換
同社は近年、通信やインターネット事業からAI・半導体投資へと軸足を移しています。 「AIが新しい産業革命を牽引する」との孫正義会長の方針に沿い、 SBGは世界のAIエコシステム形成に直接関与する立場を強化しています。ビジョンファンド2では、AIモデル開発支援、ロボティクス、自動運転関連などを重点投資先に据えています。
中間決算の背景にある「再成長戦略」
2022〜23年度は投資先の評価損で赤字が続いたSBG。 しかし、AI関連市場の回復と資産整理の成果により、2025年度は「再成長局面」に突入しました。後藤専務は「投資の質を高め、リスクを抑えながら成長機会をつかむ」とコメント。 従来の“リスクマネー型投資”から、“戦略的AI投資”への転換を強調しています。
今後の焦点:AI覇権と市場変動リスク
AI関連企業の評価額上昇はSBGの業績を押し上げる一方、 米テック株の変動リスクも依然として高い状況です。今後の焦点は、オープンAIへの追加投資がどれほどのリターンを生むか。 また、生成AIブームの持続性や規制強化が投資環境に与える影響も注視されます。
SBGが描く“AI資本国家”構想とは
孫正義会長は近年、「AIの進化は地球文明を変える」と発言しており、 SBGを“AI資本国家”に例えるビジョンを掲げています。同社が持つ投資リソース、ネットワーク、資金循環の仕組みを通じて、 AI分野での世界的主導権を握る構想が進行中です。 中間決算の好業績は、その戦略の「序章」に過ぎません。
FAQ|ソフトバンクGの決算とAI投資
Q1:今回の純利益2.9兆円の要因は?
A1:オープンAIなどAI関連企業への投資益と、エヌビディア株の売却益が主要因です。
Q2:オープンAIへの投資額は?
A2:既存投資に加え、12月に約3兆4700億円の追加投資を予定しています。
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Q3:今後の投資方針は?
A3:AI分野を中心に、半導体・自動運転・データセンター関連企業へ戦略的出資を継続します。
Q4:リスク要因は?
A4:AI市場の成長鈍化、米国金利上昇、地政学リスクが利益変動の懸念材料です。
Q5:孫正義会長のコメントは?
A5:孫氏は「AI革命の波に乗り、次の100年を創る」と強調し、AI中心の経営を加速する意向を示しています。
まとめ|AIがけん引するソフトバンクGの新時代
ソフトバンクグループの中間決算は、AI投資戦略の成功を象徴する結果となりました。
かつて通信事業で成長した企業が、今はAIを軸に「テクノロジー投資国家」へと進化しつつあります。
オープンAIを筆頭に、世界のAIエコノミーをどう取り込むか。
ソフトバンクGの次の一手は、単なる企業決算を超えた“時代の指標”として注目されています。
