ミュゼプラチナム破産申し立てと影響拡大の全容解説

大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH株式会社に対して、債権者が破産申し立ての準備を進めていることが、5月15日明らかになりました。

給与の未払い、突然の全店舗休業、経営体制の混乱といった問題が表面化し、利用者と従業員の双方に深刻な影響が広がっています。

本記事では、、問題の構造について整理し、社会的な意味や制度改革の可能性にも踏み込みます。

この記事の要点
  • 現時点までの経緯
  • 今後の見通し
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目次

全店舗休業と混乱の始まり

MPHは2025年3月下旬、全国約170店舗の営業を一時停止すると発表しました。

突然の決定により、施術の予約をしていた利用者は対応に追われ、現場の従業員たちも休業や給与の支払いに関する説明を受けないまま出勤停止となりました。

この時点で、公式サイトや会員アプリも機能を停止しており、会社側からの発信はなく、情報が錯綜する中で憶測や不安が広がっていきました。

消費者センターにも「施術代を支払ったが受けられない「連絡が取れない」といった相談が相次いでいます。

現状整理
  • 全国約170店舗が突然の営業停止
  • 従業員約2300人が勤務できない状況に
  • 公式アプリ・サイトの情報更新も停止
  • 消費者センターへの相談が急増中

従業員に降りかかる給与未払い

給与の支払いが2025年1月分から遅延しはじめ、4月時点で3か月分におよぶ未払いが発生していました。

MPHは給与支払いが困難であることを認めつつ、「経営再建中で年内完済を目指している」と発表しましたが、従業員の間では「すでに支払い能力は失われている」との不信感が広がっています。

労働基準監督署やハローワークへの相談が相次ぎ、弁護士を通じた破産申し立ても検討される事態にまで発展しました。

債権者による破産申し立ての動き

従業員代表団体と一部の債権者は、MPHの経営が事実上立ち行かなくなっていると判断し、東京地裁への破産申し立ての準備に入りました。

これは、資産の不正流出を防ぎ、労働債権の優先弁済を確保するための措置とされています。

MPH側は、「事業再建を目指す」と再三主張していますが、店舗契約解除やテナントからの撤退要請も進んでおり、再建の可能性は極めて限定的です。

経営要因
  • 前払い方式の未消化役務が財務を圧迫
  • 社会保険料滞納により税務署から差押え
  • 株主間の対立が経営判断を混乱させた
  • 資金繰りが限界に達し破産寸前の状態

なぜここまで追い詰められたのか

ミュゼプラチナムのビジネスモデルは、複数回施術をパッケージで販売し、前払いで資金を回収するスタイルでした。

当初はキャッシュフローの安定化に寄与していましたが、顧客数の急増に施術体制が追いつかず、未消化分が蓄積していく構造的な問題が発生していました。

加えて、業界全体で施術価格の値下げ競争が激化し、利益率が縮小していったことも経営悪化に拍車をかけました。

人件費やテナント料の支払いを賄えない月が出始め、次第に債務超過に陥ったとみられています。

利用者の怒りと諦め

「5回分の契約をしていたのに、2回しか施術を受けられていない」「休業以降、返金の連絡もない」と訴える声が後を絶ちません。

連絡手段が断たれたまま数週間が経過し、多くの利用者は不安と怒りを抱えています。

国民生活センターや消費者庁にも通報が相次ぎ、消費者契約法や割賦販売法に基づく救済の検討が始まりました。

ただし、破産が正式に認定された場合、返金は困難となる可能性が高くなります。

従業員

1月から給与が出ていなくて、家賃が払えない

利用者

10万円払っていたのに、何の説明もないなんて信じられないわ

従業員の生活と尊厳を守るために

アルバイトを含む従業員約2300人のうち、相当数が生活資金に困窮しており、実家に戻る者や新たな職を探す人も出始めています。

SNSでは「会社に使い捨てにされた」「誠意ある説明がない」といった批判が広がり、オンライン署名運動も行われています。

すでに労働基準法違反として厚生労働省への通報も出ており、今後は企業責任の所在と従業員救済の在り方が社会的議論となることが予想されます。

裁判所の判断と今後の手続き

東京地方裁判所は、申立人側とMPH側の双方からの事情聴取を経て、破産手続きの開始可否を判断します。

破産が認定されれば、破産管財人が選任され、企業資産の保全と優先弁済が法的に管理されることになります。

利用者や従業員は、一定の手続きを経て補償を受けられる可能性はありますが、全額返金や給与全額回収は現実的には困難とみられています。

業界全体への波紋と制度見直しの必要性

今回の破綻劇は、脱毛業界全体への信頼にも大きく影響しています。

特に、前払い制度に対する不信感が強まり、利用者の間では「都度払い」や「後払い方式」への移行を希望する声が目立ちます。

業界団体や行政当局は、サービス未消化リスクに備えた資金保全措置や、外部監査の導入など制度面での見直しを急ぐ必要に迫られています。

社会的視点と今後の注目点

今回の一件は、単なる経営破綻ではなく、消費者保護、労働者保護、そして業界の構造改革といった、複数の社会的課題を浮き彫りにしました。

特に「現金前払い型ビジネスモデル」がリスクを伴うことを証明した形となり、今後の事業設計にも影響を与えると考えられます。

注目すべき今後の論点
  • 前払い金の保全義務の法制化
  • 破産手続きにおける労働債権優先措置
  • 第三者によるサービス提供管理体制の整備
  • 業界全体でのガイドライン策定と透明性確保

まとめ

  • ミュゼプラチナムは、全国での施術サービスを全面停止しました。
  • 従業員に対する未払い給与は、約15億円に上ります。
  • 債権者団体は、破産申し立てを裁判所に準備しています。
  • ビジネスモデルの構造上、未消化役務が負債化しました。
  • 利用者と従業員双方に、深刻な影響が出ています。
  • 脱毛業界の制度改革が、強く求められています。

この件はまだ進行中であり、司法判断や救済措置の行方次第で、影響の大きさはさらに広がる可能性があります。

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