食費の節約を求める消費者が、コメからパンへと移行し始めています。2025年に入り、パン屋の倒産が大幅に減少しました。
この変化の背景には、コメ価格の急上昇があります。
なぜいまパンが見直されているのか。その動向と今後の見通しを、わかりやすく解説します。
パン屋の倒産が激減した実態

2025年の倒産件数が前年の半分に減少
年 | 倒産件数 |
---|---|
2020年 | 12件 |
2021年 | 14件 |
2022年 | 18件 |
2023年 | 26件 |
2024年 | 31件 |
2025年 | 7件(1月〜4月) |
小麦安定とコメ高騰が転換点に
コメ価格の高騰により、家計の見直しが進む中、パンが「日常の主食」として再び選ばれ始めました。

パンなら冷凍保存できるし、忙しい朝にも便利。ごはんより光熱費も安くて助かってます。」
コスト面で見る主食選びの変化


パンは家計に優しい主食として再評価
主食 | 1食のコスト | 保存のしやすさ | 光熱費 |
---|---|---|---|
ごはん | 約55円 | △(冷凍後レンチン) | 高い |
パン | 約32円 | ◎(冷凍可) | 低い |
1か月で見ると、パンの方が家計にやさしい選択肢です。
パン屋の経営が安定し始めた理由
地域密着の強みが活きている
パン屋が地域の交流拠点となっているケースも増え、近所の住民とのつながりが収益を下支えしています。



うちは地元の野菜を使った総菜パンが人気。スーパーでは買えない味で勝負しています。
- 朝市と併設し週末のみ営業
- 地元の学校とコラボした商品開発
- 冷凍パンの宅配サービス対応
小麦価格は一時的に落ち着いている
政府売渡価格は2024年後半から下落に転じ、業界全体がひと息つける状況となりました。
これにより仕入れ価格の見直しができ、赤字経営からの脱却が可能になっています。
コメ市場の現状と見通し


コメの価格はなぜ高騰しているのか?
- 天候不順による不作
- 減反政策の影響
- 海外への輸出増加
- 飼料用転換による供給減
- 供給減と需要増が同時に起きたことで、コメの価格は高止まりしています。



コメを買おうと思ったら、いつもの無洗米が500円も高くなってて驚きました。
パン業界全体の展望


朝食=パンという新しい常識
とくに都市部では朝食をパンにする家庭が増え、「朝はごはん」からの意識転換が進んでいます。
パンとサラダ、スープを組み合わせた簡単な朝食が人気です。
健康志向で商品開発が進化
- 糖質30%オフのライ麦パン
- グルテンフリー大豆パン
- 食物繊維たっぷりの全粒粉ベーグル
これらの商品は、20代から40代の健康志向層に特に支持されており、リピート購入率も高まっています。
人手不足や原材料高などの課題は残る
パン業界が安定化しつつあるとはいえ、人手不足やエネルギー価格の不安定さは依然として大きな課題です。
特に中小規模のベーカリーにとっては、設備投資や人材確保が将来的な持続成長の鍵となります。
パン屋の経営安定化を支える日常的な需要
パン業界の現場では、家計の見直しが追い風となり、パンを選ぶ消費者の増加が売上を底支えしています。
冷凍保存ができる食パンや総菜パンの需要が高まり、ロスの少ない営業スタイルへと移行した店舗も見られます。
また、小麦の価格が安定したことは、経営環境の改善に直結しており、過剰な値上げを避けられることが消費者の支持を集める結果となっています。
加えて、糖質制限やグルテンフリーなどの健康志向のパンも定着しつつあり、特定のニーズに応える商品がリピーターを生んでいます。
パン屋は一時的なブームではなく、日常に根差した業態として再評価されているのです。
倒産の減少は、こうした地道な努力の成果といえます。
まとめ
- パン屋の倒産件数は、前年の半分以下に急減しました。
- コメ価格の高騰が家計に影響し、パンが見直されています。
- パンは保存性や手軽さで、主食として選ばれ始めています。
- 地域密着型経営と健康志向が、パン業界を支えています。
- コメ価格の調整には、時間がかかる見通しです。
- パンは主食として定着する可能性が、今後も高まっています。