台湾のコストコで販売されている日本米「秋田こまち」が、国内よりもはるかに安価な約2600円で販売されているとして、SNSを中心に注目が集まりました。
このニュースは、国内の米価格が上昇傾向にある中で、「なぜ海外の方が安いのか」という疑問や不満の声を引き起こしています。
価格の逆転現象に何が関係しているのか、、読み解きながら明らかにします。
- 台湾で価格の逆転現象の理由
- 関係機関や流通の仕組み
- 輸出政策との関連
話題となった台湾での米価格の投稿とは

2600円の日本米がSNSで拡散
2025年5月、台湾のコストコで日本産の米「秋田こまち」5キロが539台湾ドル、つまり約2600円で販売されていたという投稿がSNSで爆発的に拡散されました。
投稿にはレシートや商品棚の写真も添えられており、現地の価格が日本よりはるかに安いという印象を強く与えました。
一部の投稿では「国内では4200円以上なのに、なぜ台湾でこの値段なのか」といったコメントがつけられ、日本国内の消費者の不満や不信感が噴出するきっかけとなりました。
価格差に驚く声が多数
ネット上では以下のような声が相次ぎました
- 「なんで日本人が高い米を買わなきゃいけないのか」
- 「輸出を優先して国内を犠牲にしているのでは」
- 「コストコが特別に安く仕入れてるだけなのでは」
一部では、政府や農協、JAなどの輸出政策を批判する声も見られ、議論は単なる価格問題にとどまらず、農業政策全体の是非にまで及びました。
日本と海外で異なる米の販売価格

主な地域別の価格差
台湾コストコで販売された秋田こまちの価格が極端に安いとされる一方で、他の国では逆に高値で販売されている例も少なくありません。
地域 | 日本米5キロの価格 |
---|---|
日本国内 | 約4200円(2025年5月時点) |
台湾コストコ | 約2600円(秋田こまち) |
台湾ECサイト | 約3100〜7000円 |
香港 | 約4400〜4800円 |
アメリカEC | 約6800〜13500円 |
台湾コストコでの価格が突出して安いことは明らかですが、これをもって「海外で叩き売りされている」と判断するのは早計です。
台湾の他のECサイトでは、国内より高価な価格帯の米も多く存在します。
安値の背景には複数の要因

コストコ独自の流通と価格戦略
コストコは大量仕入れによるスケールメリットと、薄利多売を基本とした価格戦略を取ることで知られています。
特定商品を目玉商品として格安で提供することで集客を図る手法は、今回の秋田こまちにも当てはまる可能性があります。
さらに、台湾コストコは日本米を現地で安定的に流通させるルートを確保しており、現地法人が主導する価格設定も柔軟です。
特別契約によって輸送費や仲介マージンを抑えている場合、例外的に安くなることがあります。
国内の米高騰との対比が影響
日本では近年、異常気象や栽培コストの上昇などによって米の価格が上がっています。
2024年と比較して、2025年の米価格は約1.8倍から2倍にまで跳ね上がったとされ、消費者の価格感覚が大きく変化しています。
これにより、例外的に安い台湾での価格が際立って見え、日本国内での価格が「高すぎる」との印象を強めてしまったとも言えます。
米価格が逆転した理由
- 台湾コストコの価格が特例的に安価
- 日本国内は過去2年で価格が急上昇
- コストコの大量仕入れ戦略が影響
- 一般的な輸出米は日本より高価
政府と世論の温度差

政府の立場と説明
日本政府は「高品質な日本米を世界に届けることは農業輸出戦略の一環であり、国家としての責任である」との見解を示しています。
農林水産省も輸出量の拡大を進める一方で、「国内需給の安定も同時に図っていく必要がある」との考え方を表明しています。
また、輸出を通じて米の需要を支えることで、農家の生計を保護する側面もあるとし、単純に「海外に安く売ることが悪い」とは言えないとしています。
SNS上の反応と矛盾
一方でSNSでは、以下のような批判的な声が目立ちました。
- 輸出に力を入れるなら、まず国内供給を安定させてほしい
- 輸出で儲けようとして、国民を犠牲にするのはおかしい
- 食料自給率の向上と輸出が矛盾している
このように、政府の説明と国民の感情との間にギャップがあることが、問題の根深さを示しています。
消費者の声

高い米を買うのは当たり前になったけど、海外で安く売られてるって知ると納得できないよね



輸出で支えられるのはありがたいけど、国内の消費者から誤解されるのはつらいです



価格は単なる数字ではなく、流通や政策、消費者心理の反映でもあるんです
日本米の価値をどう伝えるか
日本米はその品質の高さと安全性で世界的に評価されています。
とりわけ秋田こまちやコシヒカリなどの銘柄米は、アジア市場を中心に高級品としての地位を築いています。
今回のような例外的価格が出回ると、その価値が過小評価されるリスクもあります。
また、価格だけでなく、食味や安全性、栽培方法などの背景も含めて、日本米の魅力を丁寧に伝えていく努力が求められています。
まとめ
- 台湾コストコで販売された日本米の価格は、例外的に安価です。
- 日本国内では米の価格が高騰しており、比較されやすい状況にあります。
- コストコの特別な仕入れルートが、安さの要因と考えられます。
- 一般の輸出ルートでは、むしろ日本より高値で販売されています。
- 政府の輸出推進策と国内消費者の不満が、乖離しています。
- 日本米の価値を価格以外の側面でも、伝える必要があります。