カレー店経営危機に注目! 原材料高が話題となり過去最多倒産

2024年度(2024年4月~2025年3月)に発生したインド料理店などを含めた「カレー店」の倒産は13件となり、前年度12件を上回って年度での過去最多を更新した。

この衝撃的な現実は、日本中で愛されるカレー業界に深刻な影を落としている。コロナ禍を乗り切ったカレー店でさえ、現在の経済環境では生き残ることが困難な状況に陥っている。

✅注目すべき基本情報

  • 話題の中心: カレー店の倒産が過去最多レベル
  • 発生期間: 2024年4月~2025年3月(2024年度)
  • 倒産件数: 13件(前年度12件から増加)
  • 対象企業: 負債1000万円以上の法的整理
  • 注目理由: カレーライス物価が2024年度は1食365円となり、過去10年で最高を更新
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目次

物価上昇の実態

「カレーライス物価」をみると、2024年度は1食365円となり、過去10年で最高を更新した。

「ごはん(ライス)」はコメ価格の高騰を背景に5年前から1.4倍に上昇し、カレー具材の「肉・野菜」でも円安による輸入牛肉の高騰や天候不順の影響による野菜の高騰で、5年前比1.3倍に上昇した。

この数字が示すのは、家庭でカレーライスを作る際にかかる原材料費と光熱費の合計だ。わずか5年間で3割もの上昇は、中小カレー店の経営に直撃している。

特にコメ価格の急騰は、これまで安定していた基本食材のコストを大幅に押し上げた。

話題となった経営悪化の要因

特に「欧風スパイスカレー」がブームとなった2022年~23年以降は、コロナ禍のデリバリー・テイクアウト特需が一服し、ランチ需要などで他業態との競争が再び激化したこともあり、経営が悪化するカレー店が増加している。

コロナ禍では、テイクアウトやデリバリーとの相性の良さから多くのカレー店が生き残った。本格的なスパイスカレーブームも追い風となり、個人起業から外食チェーン、キッチンカーまで様々な形態のカレー店が参入した。

しかし、この成功体験が裏目に出て、市場の競争激化を招いた。

主な経営悪化要因

  • デリバリー・テイクアウト特需の終了
  • 他業態との競争激化
  • 原材料価格の大幅上昇
  • 光熱費・人件費の増加
  • 市場の過当競争

注目される原材料コスト分析

項目5年前比較主な要因
ごはん(ライス)1.4倍コメ価格急騰
肉・野菜1.3倍円安・天候不順
スパイス類高止まり輸入価格上昇
光熱費大幅増エネルギー価格高騰

この表が示すように、カレー店にとって不可欠な全ての材料で価格上昇が発生している。

特にコメは従来「安定した安価な食材」として経営計画の基礎となっていたが、その前提が崩れたことで多くのカレー店が収益悪化に直面している。

求められる業界の対応

一方で、業界には明るい兆しも見える。日本のカレーを目当てに来店するインバウンド客が増加しており、チェーン店ではフードコート内店舗やロードサイド店の新規出店により、客数と客単価の向上を目指す動きもある。

🔁業界対応の時系列
  1. コロナ禍:デリバリー・テイクアウトで生き残り
  2. 2022-23年:スパイスカレーブームで参入増加
  3. 2024年:原材料高で経営圧迫開始
  4. 現在:倒産増加とインバウンド需要への期待

今後の展開予測

カレーに使用するスパイス価格は中長期的にも高止まりの傾向が続くとみられるほか、コメ価格や野菜価格も先行きが見通しにくい状況にある。

2025年度は既に2件の倒産が発生しており、個人営業など小規模店の廃業や閉店を含めると、実際にはさらに多くのカレー店が市場から撤退している可能性が高い。

FAQ – よくある質問

Q1: なぜカレー店だけ倒産が増えているのか?
A1: 原材料のコメ、野菜、スパイスすべてで価格上昇が発生し、薄利多売のビジネスモデルに打撃を与えているため。

Q2: 今後もカレー店の倒産は続くのか?
A2: スパイス価格の高止まりやコメ価格の不安定さを考慮すると、しばらく厳しい状況が続く見込み。

Q3: 消費者への影響は?
A3: メニュー価格の上昇や、一部店舗の閉店により選択肢が減る可能性がある。

Q4: 生き残るカレー店の特徴は?
A4: インバウンド需要を取り込める立地、差別化されたメニュー、効率的な経営体制を持つ店舗。

Q5: 政府の支援策は?
A5: 中小企業向けの一般的な経営支援はあるが、カレー店特有の課題に特化した支援策は限定的。

今後の課題と改善策

カレー店業界が直面する課題は単純な価格転嫁だけでは解決できない。根本的な経営モデルの見直しが必要だ。

価格競争から脱却し、付加価値を高める戦略、効率的な仕入れルートの確保、インバウンド需要の積極的な取り込みが生存の鍵となる。

また、業界全体として原材料の安定調達に向けた協力体制の構築、新しい調理技術の導入による効率化、デジタル化による運営コストの削減など、構造的な改革が急務となっている。

行政も中小飲食店向けの支援策を強化し、地域の食文化を守る観点からの政策的配慮が求められる。

🖋 街角に漂うスパイスの香りが、いつの間にか経済の重圧に押しつぶされようとしている。一杯のカレーライスに込められた店主の想いと、それを支える複雑な経済の糸が絡み合う現実。

私たちが何気なく味わう一皿の背後には、グローバル経済の波に翻弄される小さな店舗の必死の営みがある。カレーという国民食を通じて見えてくるのは、現代日本が抱える物価高と中小企業経営の深刻な現実なのかもしれない。

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