母から娘へ受け継がれたワンピースの復刻が話題に

母の思い出をまとい続ける娘の投稿が広がり、多くの人々の共感を呼びました。

SNS上で注目された一着のワンピースが、販売元フェリシモによって現代によみがえります。

世代を超えて愛されるデザインの背景と、復刻までの道のりを丁寧に解説します。

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目次

ワンピースが注目を集めたきっかけ

出典:Instagram

SNSで拡散された投稿が話題に

2024年8月、イタリア・ミラノに暮らす歴史学研究者の増永菜生さんが、Xで一枚の写真とともに投稿した内容が大きな注目を集めました。

その投稿には、1990年代に母親が購入し、今も大切に着続けているというワンピースの姿が映し出されていました。

着用していたのは増永さん本人で、洗練された佇まいと穏やかな美しさをまとった姿に多くの人々が感動し、投稿は瞬く間に拡散されました。

この投稿は53万回以上表示され、数千件のいいねとリポストがつきました。「おしゃれで上品」「こういう服がほしい」というコメントが相次ぎ、SNS上では一躍話題となりました。

商品の正体はフェリシモの旧ブランド

このワンピースは、かつてフェリシモが発行していた「ルミエル」というカタログ内のブランド「デクプル」の商品でした。

1990年代において「ワンランク上のクラスカジュアル」として人気を博しており、オフィスでも休日でも着用できる上品さが評価されていた一着です。

フェリシモが復刻を決断した背景

出典:Instagram

創立60周年を迎えたフェリシモの挑戦

注目の投稿を受け、フェリシモ社内ではすぐに反応がありました。

SNS担当者が投稿を見つけて社内に共有し、商品開発チームが動き出します。

同社は2025年に創立60周年を迎えるにあたり、記念プロジェクトとして「記憶と再会」をテーマに掲げていました。

この方針と今回のエピソードが重なったことで、復刻プロジェクトが立ち上がりました。

フェリシモは、当時のデザインが「エレガンス」「普遍的な美しさ」として今もなお評価されることに注目し、現代に通用する価値があると判断しました。

そのうえで、復刻という形を通して、時代を超えたつながりや思いを表現するというコンセプトを打ち出したのです。

復刻されたワンピースのこだわり

復刻版ワンピースに対し、「元のデザインとは別物」という意見がある。

紹介されたものと復刻版では、色やボタン、ポケットの有無に違いがあるためだ。担当者は、紹介された2種類のワンピースは元々デザインが異なると説明。

復刻版ではグレーを残し、ベージュではなくブルーを採用。グレーのデザインを復刻した理由は「通常グレーの人気が高いため」。増永さんとの話し合いの結果、使いやすい色を選んだ。

共通点は「美しいシルエットとウエストのダーツを活かした仕立て」。クラシカルなデザインが魅力。

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現代仕様に合わせた改良

復刻にあたっては、当時のシルエットや素材の風合いを忠実に再現しつつ、現代のライフスタイルにフィットするように工夫が加えられました。

もっとも大きな変更点のひとつは、裏地を取り外し可能なインナーにしたことです。

かつてはワンピースに縫い付けられていた裏地を、今回はキャミドレスとして別パーツにすることで、手入れや着回しがしやすくなりました。

また、着心地の良さと見た目の美しさを両立させるために、熟練のパタンナーが一から型紙を引き直しました。

現代女性の体型や動作に合わせた微調整が重ねられ、より自然に、より快適に着られる仕上がりになっています。

カラーは投稿者の感性を反映

復刻版では、カラー展開にも新たな要素が加わりました。

増永さんの意見を取り入れ、選ばれた色は「朝霧グレー」「潤んだ空ブルー」という名称が与えられました。

いずれも落ち着きと透明感を感じさせる色で、日常にも特別なシーンにもなじむ絶妙なトーンです。

この色名にも、記憶や風景といった情緒的なイメージが込められており、着る人に物語を添えるような存在感を持っています。

遠隔で進んだ共同開発のプロセス

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ミラノと神戸をつないだものづくり

復刻プロジェクトは、ミラノに住む増永さんと、神戸に本社を構えるフェリシモとの間で遠隔連携という形で進行しました。

生地のサンプルや試作品は写真でやり取りしながら調整を重ね、時差を越えて連絡が取り合われました。

フェリシモの開発担当者は「距離を超えて想いを一つにする作業だった」と語っており、単なる復刻ではなく、共同で価値を創り上げるプロセスだったと振り返ります。

この姿勢は、企業と個人がフラットな関係で共創する新たなモノづくりの在り方として注目されました。

サイズ展開で幅広い世代に対応

復刻版のワンピースは、全9サイズでの展開となっています。体型や年代を問わず多くの人に着用してもらえるよう、細やかなサイズ設計が行われました。

かつてこの服を愛用していた世代にとっては懐かしさとともに、今も着られるという安心感があり、また若い世代にとっては初めての出会いとして、新鮮な魅力を感じられるデザインとなっています。

世代を超えてつながるファッションの力

イメージ画

継承される衣服の価値

今回の復刻は、単に過去の商品をもう一度売るということではありませんでした。

母から娘へ受け継がれた一着のワンピースに込められていたのは、思い出や価値観、日々の暮らしの記憶でした。

それを現代に再構築し、多くの人に届けるという行為は、ファッションが持つ力を改めて見直すきっかけとなりました。

持続可能性やサステナビリティが重視される現在、こうした丁寧なものづくりは、社会に対しても有益な意味を持ちます。

服を長く使うこと、大切にすること、そして親から子へと思いを受け継ぐことが、新しい消費の形として浸透しつつあります。

フェリシモが描くこれからの展望

フェリシモは、今回のようなアーカイブ商品の復刻を今後も継続的に検討していく方針です。

同時に、消費者と共に商品を作り上げる「共創」のスタイルを重視しており、今後もSNSを起点とした開発プロジェクトが生まれる可能性があります。

時代や場所、世代を超えて、人と人、企業と個人がつながる仕組みとして、今回の取り組みは新たな価値を生み出しました。

商品開発を超えた社会的な意義も見えてきており、多くの企業がこのようなスタイルに注目することが予想されます。

まとめ

  • SNS投稿が、復刻のきっかけとなりました。
  • フェリシモが、創立60周年事業として復刻を決定しました。
  • 当時の魅力を活かしつつ、現代仕様に改良されました。
  • カラーには、投稿者の感性が取り入れられました。
  • 遠隔で共同開発を行い、共創の姿勢が評価されました。
  • ワンピースが、世代を超えて人々をつなげました。

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