外国人観光客によるレンタカー事故が、観光地で大きな課題となっています。山梨県では2026年5月までに600件を超え、2025年を上回るペースで推移しています。背景として指摘されているのが、日本特有の左側通行や道路標識、運転席の位置などへの戸惑いです。北海道では死亡事故も発生しました。外国人旅行者だけの問題ではなく、同じ道路を利用するすべての人に関わる交通安全の問題として、事故の実態や注意点を整理します。
- 山梨県内の外国人観光客によるレンタカー事故が2023年以降急増
- 2026年は5月までに600件を超え、2025年を上回るペース
- 2025年6月には富士山周辺で対向車線にはみ出した車と観光バスが正面衝突し、6人が負傷
- 2026年7月には北海道富良野市でレンタカーと乗用車が正面衝突し、レンタカーの女性1人が死亡
- 外国人旅行者からは「左側通行」「運転席の位置」への戸惑いを訴える声が出ている
外国人観光客のレンタカー事故が急増
インバウンド観光が回復する中、日本国内をレンタカーで移動する外国人旅行者も増えています。その一方で、観光地では外国人ドライバーが関係する事故が相次いでいます。
特に目立っているのが、富士山周辺など多くの外国人旅行者が訪れる地域です。山梨県内では、外国人観光客によるレンタカー事故がコロナ禍明けの2023年以降に急増し、2022年から4年ほどで20倍近い水準に増えたと報じられています。
2026年についても5月までに600件を超えており、前年を上回るペースで推移しています。観光客の増加とともに、交通安全対策も重要な課題になっていることがうかがえます。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 山梨県 | 2022年から約4年で20倍近くに増加 | 2023年以降に急増 |
| 2026年 | 5月までに600件超 | 2025年を上回るペース |
北海道では死亡事故も発生
事故は物損だけにとどまりません。2026年7月20日、北海道富良野市の国道では、外国人ドライバーが運転するレンタカーと乗用車が正面衝突する事故が発生しました。
レンタカーには香港からの観光客4人が乗っており、助手席の女性が死亡しました。事故については、外国人ドライバー側のセンターラインのはみ出しが原因とみられると報じられています。
対向車線へのはみ出しは正面衝突につながる危険があります。速度が出やすい幹線道路では、双方の車両に大きな衝撃が加わる可能性があるため、特に注意が必要です。
富士山周辺でも観光バスと正面衝突
2025年6月には、富士山のふもとを走っていた観光バスと乗用車が激しく正面衝突する事故も起きています。
乗用車を運転していたのは外国籍の男性で、乗用車が対向車線にはみ出したとされ、この事故では男性を含む6人が負傷しました。
富士山や河口湖周辺は外国人旅行者にも人気の高い観光地です。公共交通機関だけでは訪れにくい場所もあるため、レンタカーは便利な移動手段となっています。一方、慣れない道路環境での運転には相応のリスクが伴います。
なぜ日本での運転に戸惑うのか
左側通行への切り替え
外国人旅行者が戸惑うポイントの一つが、日本の「左側通行」です。右側通行の国や地域から訪れたドライバーにとって、普段とは反対側を走ることになります。
記事の取材を受けたイスラエルからの観光客も、最初は左側通行に慣れるのが大変で、対向車線にはみ出してしまったことがあったと話しています。
運転席の位置も違う
車線だけでなく、車の運転席の位置が普段と反対になる旅行者もいます。韓国からの観光客は、運転席の位置と走行車線の双方が反対になることで、距離感などに戸惑う可能性を指摘しています。
こうした違いが複数重なると、交差点を曲がった直後や道路へ合流するときなど、普段の運転習慣が無意識に出てしまう可能性も考えられます。
左側通行だけでなく、運転席の位置、道路標識、交差点、道路幅など、旅行者にとって普段とは異なる環境が重なる場合があります。そのため、単に運転技術の問題だけではなく、日本の交通環境への適応という視点も重要です。
事故を防ぐために求められる対策
外国人旅行者によるレンタカー事故を減らすには、ドライバー本人の注意だけに頼らない対策も重要になりそうです。
レンタカーを貸し出す段階で、日本では左側を走ることや、交差点での右左折、道路標識など、事故につながりやすいポイントを分かりやすく伝えることが考えられます。
特に、文字による説明だけでは十分に理解できない旅行者もいるため、イラストや動画、多言語表示などを組み合わせる方法も考えられます。
- 出発前に左側通行を確認する
- 右左折後に入る車線を意識する
- センターラインとの距離を確認する
- 日本の主要な道路標識を事前に確認する
- 慣れるまでは速度を控え、余裕を持って運転する
- レンタカー事業者による多言語での安全案内を充実させる
これらは今回の記事で具体的な導入が決まった対策という意味ではなく、報じられた事故の状況から考えられる安全上のポイントです。実際の制度や事業者の対応については、それぞれの公式案内を確認する必要があります。
日本人ドライバー側も「レンタカー」を意識
外国人観光客の事故増加は、外国人ドライバーだけの問題ではありません。同じ道路を走る日本人ドライバーにとっても、交通環境の変化として意識しておきたい問題です。
観光地では「わ」ナンバーなどのレンタカーを見かける機会があります。ただし、レンタカーだから外国人が運転しているとは限りませんし、外国人だから危険な運転をするということでもありません。
重要なのは、観光地では道路に不慣れなドライバーが走っている可能性を考え、十分な車間距離を取るなど、周囲の車が予想外の動きをしても対応しやすい運転を心がけることです。
外国人観光客に限らず、初めてその地域を運転する人は道に迷ったり、急に進路を変更したりする場合があります。レンタカーの後方を走る際には車間距離に余裕を持ち、「急な動きがあるかもしれない」と想定しておくことが安全につながります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
外国人観光客によるレンタカー事故は、山梨県などの観光地で急増しています。左側通行や運転席の位置など、日本とは交通環境が異なる国から訪れた旅行者が戸惑う実態も明らかになっています。北海道では死亡事故、富士山周辺では観光バスとの正面衝突事故も発生しました。観光客の増加が続く中、ドライバーへの分かりやすい安全案内と、周囲を走る車も含めた交通安全への意識が重要になっています。
レンタカーがあれば、鉄道やバスだけでは行きにくい場所にも足を延ばせます。日本を訪れる旅行者にとって、自由に移動できる車は旅の大きな魅力の一つでしょう。
一方で、交通ルールや道路環境が違えば、経験のあるドライバーでも戸惑うことがあります。重大事故が起きてからでは取り返せません。
旅行者自身が日本のルールを理解することはもちろん、レンタカー会社や観光地側が「初めて日本で運転する人にも分かる仕組み」を整えることも重要です。
観光を楽しむ人と地域で暮らす人が同じ道路を安全に使える環境づくり。それが、インバウンドが拡大するこれからの日本に求められる交通安全対策の一つになりそうです。

