近年、全国で廃校や廃施設を狙った金属盗難が相次いでいますが、自治体が刑事罰に加えて民事でも徹底的に責任追及するケースは注目されます。なぜこのような事件が後を絶たないのか、そして市がどこまで賠償を受けられるのか――あなたも気になりませんか?本記事では事件の全容から背景、関係者の動き、市民の反応まで詳しく解説します。
事件の概要(何が起きたか)
五所川原市内の廃園となった保育所および廃校となった学校校舎から、銅線や水道の蛇口などが盗み出された事件で、犯行に及んだ男性3人が建造物侵入および窃盗の罪で青森地裁弘前支部から判決を受けていたことが判明しています。
うち1人は実刑判決が確定し、残る2人は執行猶予付き判決を受けていました。市はこれまで刑事手続きを見守ってきましたが、施設の破壊と盗難による実害が大きく、2025年11月27日時点で民事での損害賠償請求を提訴する方針を固めたものです。
発生の背景・原因
背景には、銅価格の高騰とスクラップ市場の活況があります。2024年以降、国際的な需要増で銅相場は高値圏が続き、1kgあたり1,200~1,500円前後で取引されるケースも珍しくありません。これが廃施設を狙った窃盗グループの活動を活発化させています。
五所川原市でも、少子化による保育所・学校の統廃合が進み、管理が行き届きにくい廃施設が増加。監視カメラや警備体制が整っていない物件が格好の標的となりました。
事件の要点まとめ
- 対象施設:五所川原市内の廃園保育所・廃校校舎
- 盗難品:銅線、蛇口、その他金属類
- 被疑者:男性3人(1人実刑、2人執行猶予)
- 請求額:約480万円(修繕費+盗品相当額+弁護士費用等)
- 提訴予定:2025年12月4日開会の市議会で議案提出→可決後提訴
関係者の動向・コメント
市総務部は「刑事罰だけでは市の損害が回復されない。民事でも責任を明確に追及する必要がある」との姿勢を示しています。市議会定例会に損害賠償請求訴訟の議案を提出し、可決を得られれば速やかに青森地裁へ提訴する予定です。
被告側3人は刑事裁判ですでに判決が確定しており、弁護側からは現時点で新たなコメントは出ていません。
被害状況・金額・人数
被害総額は約480万円にのぼります。内訳は以下の通りです(市発表に基づく):
- 建物・配線の修繕費用:約320万円
- 盗まれた銅線等の売却相当額:約130万円
- 弁護士費用・その他:約30万円
被害施設数は複数件にわたり、破壊されたドアや壁の補修も必要で、単なる金属盗難の枠を超えた実害が出ています。
行政・警察・企業の対応
五所川原市は今後、廃施設の巡回強化や監視カメラの設置を進めるとしています。警察では金属スクラップ買取業者への指導を継続し、盗品の流通防止を図っています。
専門家の見解・分析
犯罪学の専門家は「銅価高騰が続く限り、廃施設を狙った窃盗は全国で繰り返される」と指摘。自治体が民事提訴に踏み切る事例は今後も増えると予測しています。また「刑事罰と民事賠償の両方を追求することで、再犯抑止効果が高まる」と評価する声もあります。
SNS・世間の反応
地元住民からは「税金で直すのは納得できない。しっかり賠償させてほしい」「廃校の管理が甘すぎる」といった厳しい声が上がっています。一方で「執行猶予の2人も生活がある。480万円は高すぎないか」と同情論も一部に見られます。
今後の見通し・影響
議会で議案が可決されれば、2026年早々にも提訴が行われる見込みです。勝訴した場合、賠償金の回収がどこまで進むかが焦点となります。自治体による積極的な民事追及は他市町村にも波及する可能性が高く、全国的な金属盗難対策の転換点となるかもしれません。
FAQ
Q. なぜ刑事罰だけでなく民事でも提訴するのですか?
A. 刑事罰は国が科すもので、市の損害は補償されません。民事提訴で実損害を回復するためです。
Q. 執行猶予中の被告にも請求できる?
A. 可能です。刑事罰の種類に関係なく、損害を与えた責任は残ります。
Q. 賠償金が支払われなかったら?
A. 強制執行手続き(財産差し押さえ等)で回収を図ることになります。
