栃木県那須塩原の認定こども園で、個人情報の流出した経緯と対応

認定こども園に通う園児と保護者の個人情報が、外部業者に長期間渡されていた問題が明らかになりました。

教育現場での信頼が問われる今回の事件は、情報管理と個人情報保護の体制を見直す必要性を強く示しています。

本記事では、名簿流出の詳細な経緯や関係者の対応、今後の課題について深掘りしていきます。

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那須塩原市、磯島学園の概要

栃木県那須塩原市で保育園や認定こども園を運営している学校法人磯島学園は、長年地域に根差した教育機関として活動してきました。

保育や初等教育を通じて子どもたちの健全な成長を支援することを目的としています。

地域住民からの信頼も厚く、入園希望者も多い法人の一つとされています。

しかし、その信頼が揺らぐような事態が明らかになりました。

運営する認定こども園で、園児と保護者の個人情報を記載した名簿が外部に流出していたというのです。

名簿流出の実態と発覚の経緯

10年以上続いた外部提供と対象人数

問題が発覚したのは、園児や保護者の氏名、住所、電話番号といった情報が記載された名簿が、外部の業者に長期にわたり渡されていたという事実です。

名簿は少なくとも10年以上にわたって流出しており、その対象は200人以上に及ぶと見られています。

提供先となったのは小学校で使用する運動着を取り扱う業者で、入学準備に関わる商業活動に用いられていた可能性があります。

発覚のきっかけは保護者からの苦情

この問題が発覚したのは、ある保護者が「子ども向け商品のダイレクトメールが突然届いた」と園に連絡したことがきっかけでした。

保護者は園に個人情報を提供した覚えはあるものの、その情報が商業目的で使われることには全く同意しておらず、強い疑問と不信感を抱きました。

園の職員が名簿を回収して調査した結果、外部業者との間で名簿が共有されていた事実が明らかとなりました。

流出に関与した前理事長の対応

名簿提供を認めた上での辞任

この名簿の提供について責任を問われたのは、当時の理事長であった人物でした。前理事長は事実を認め、2025年2月末に理事長職を辞任しています。

関係者への謝罪の意を示すとともに、法人の名誉を守るためとして辞任の理由を説明しています。

善意の行為とする説明の是非

前理事長は記者会見で、「業者から金銭を受け取ったことはない」と述べ、名簿提供は小学校入学を控える保護者の便宜を図るためだったと説明しました。

つまり、保護者がスムーズに運動着などを購入できるようにとの配慮から、業者に情報を渡したとしています。

しかし、個人情報の保護という現代の法的および倫理的観点からは、その行為は到底容認されるものではありません。

法人の対応と今後の再発防止策

再発防止に向けたコメントと姿勢

磯島学園は、今回の件について「二度と同じことが起こらないよう、全職員が意識を高めて運営に取り組みたい」とする声明を発表しました。

園児と保護者の信頼を回復するには、形式的な謝罪だけではなく、組織的な仕組みの見直しが必要です。

情報管理体制の見直しや外部とのやりとりに対するチェック機能の強化、職員への個人情報保護研修など、具体的な改善策が求められます。

教育現場での情報管理の在り方

個人情報保護法との関係性

名簿のような個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法により厳格に管理が求められています。

今回のケースでは、本人の同意なく第三者に情報を提供したことから、法令違反の可能性が高いと指摘されています。

特に、未成年者の情報である園児のデータは、より慎重に取り扱われるべきものであり、その流出が教育機関の内部で行われたという点で重大な問題といえます。

信頼回復には長期的な努力が必要

保護者の信頼を損なった教育機関が、それを回復するには時間がかかります。

地域に根ざした園であるからこそ、情報管理の在り方やガバナンス体制が今後の運営に直結します。

外部との契約書や利用目的の明記、職員の行動ルールの明文化など、組織全体での見直しが重要です。

再発防止に必要な取り組みの具体例

情報管理体制の強化

今回のような問題を防ぐためには、法人全体の情報管理体制を抜本的に強化する必要があります。

具体的には、次のような対策が求められます。

  • 個人情報にアクセスできる職員の権限を制限すること。
  • 情報を持ち出す際の手順を明文化し、上長の承認を必須とすること。
  • 年に数回、職員向けの個人情報保護研修を実施すること。
  • 外部業者と契約する際には、個人情報の利用目的を明記すること。
  • 第三者による監査体制を導入すること。
  • 苦情対応の窓口を整備し、迅速に対応できるようにすること。

保護者への説明責任の履行

教育機関が保護者に対して果たすべき説明責任も重要です。

特に、情報がどのように使用されるのかについては、事前に明示し、同意を得る手続きが欠かせません。

保護者との信頼関係が教育の土台であることを、改めて認識すべきです。

今回の名簿流出事件が持つ社会的意味

教育現場への信頼低下とその影響

教育機関は子どもたちの成長を支える存在であり、保護者からの信頼が不可欠です。

しかし、一度でも情報の扱いを誤れば、その信頼は簡単に失われてしまいます。

今回の事件は、一人ひとりの職員が持つ情報リテラシーの向上が必要不可欠であることを浮き彫りにしました。

教育現場全体への波及効果

この事件は特定の園や法人だけでなく、全国の教育機関にも波及する問題です。

保育園、幼稚園、小学校など、個人情報を扱うすべての施設が、自らの体制を点検し、必要であれば即座に改善に着手する必要があります。

安全で安心な教育環境を築くためには、不断の見直しが求められます。

まとめ

  • 名簿流出は、10年以上続き200人以上が対象でした。
  • 発覚は、保護者からの指摘がきっかけでした。
  • 前理事長は、名簿提供を認め辞任しました。
  • 保護者が、運動着などをスムーズに購入できるようにした配慮だったと説明しました。
  • 個人情報保護の徹底が、再発防止の鍵となります。

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