西武エース今井達也の放出は“損得勘定”の決断|球団が手放した本当の理由

緑の草原に3匹のウサギが並ぶ穏やかな風景。春の光が差し込む中、「novaステージ」の文字が入った共通アイキャッチ画像。
西武ライオンズのエース右腕・今井達也(27)が今オフ、ポスティングシステムを利用してメジャーリーグに挑戦することが決まった。
10日の会見で「行くからにはワールドチャンピオンを目指す」と語った今井。
しかし球団がこのタイミングで容認した背景には、単なる夢の後押しだけではなく、“損得勘定”と“厄介払い”の両面があるという見方も浮上している。
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ポスティング容認の裏側にある「球団経営の現実」

今井はプロ9年目の今季、10勝5敗、防御率1.92をマーク。178奪三振、3完封、無四球完投3回と、堂々たるエースの成績を残した。
6月のDeNA戦では17奪三振で球団新記録を樹立し、パ・リーグでもトップクラスの存在感を示した。

そんな主力を手放す決断を下した西武。広池球団本部長は「チーム強化を預かる者として難しい判断だった」と語ったが、
もし“不可欠な戦力”であれば、ポスティングを認める理由はない。
そこに球団経営上の計算が働いたと見る関係者は多い。

譲渡金47億円の衝撃 今オフが“売り時”だった理由

米スポーツ専門局「ESPN」は、今オフのFA市場における注目投手ランキングで今井を5位に位置付けた。
予想契約は6年総額1億3,500万ドル(約208億円)。さらに「ジ・アスレチック」は8年1億9,000万ドル(約292億円)と報じている。

この条件なら、西武が受け取る譲渡金は約47億円。
山本由伸(オリックス→ドジャース)の約72億円には及ばないが、菊池雄星(マリナーズ移籍時の約11億円)の4倍以上だ。

マスコミ関係者は「現行制度でこれほど高値がつくのは今年が最後かもしれない」と指摘する。
MLBの労使協定は来年12月に期限を迎えるため、来季以降はポスティングの譲渡金規定が変更される可能性もある。
西武にとっては、まさに「今が売り時」だったのだ。

「厄介払い」の側面 チーム内で浮いていたエース

一方で、球団関係者やOBの間では“別の理由”も囁かれている。
今井のマウンド上での振る舞いに、チーム内から不満が出ていたというのだ。

「好投時は味方を称え、堂々としたエースの風格を見せる一方で、不調時はイライラを隠せず、露骨に不機嫌な態度を取る。
9月のオリックス戦ではコーチがマウンドへ向かおうとすると手で制し、ロジンを叩きつける場面もありました」(球団OB)

球団内では「若手に悪影響を与える」「エースの品格に欠ける」との声も上がり、
「いっそポスティングで出した方がチームがまとまる」という意見も出ていたという。

西武が抱えるチーム再建のジレンマ

西武は昨季、リーグ最下位に沈み、チーム再建が急務だった。
その中で、同じ先発の高橋光成もメジャー挑戦を表明。
ダブルエースの流出は戦力的には大打撃だが、
「来季のAクラス入りよりも、球団経営の安定を優先した」と見る向きもある。

高橋・今井の両投手を手放す一方で、譲渡金で得た資金を若手育成や新外国人補強に回す狙いがあるとされる。
再建期に入った球団が“清算”を決断した形だ。

「ポスティング」は選手の夢か、球団の出口戦略か

ポスティング制度は本来、選手が夢を追うための仕組みだ。
しかし、現実には“高額な譲渡金”が球団経営を支える側面もある。

今井のように27歳でメジャー評価のピークを迎える選手は、球団にとって「放出価値が最も高い時期」にあたる。
球団関係者は「本人の意思を尊重した形を取りながら、実際は最も条件の良いタイミングで送り出した」と語る。

つまり、夢の舞台への挑戦と、球団の経済的合理性は表裏一体だった。

今井達也の評価と課題 メジャーで問われる「安定感」

今井の最大の武器は、最速158kmのストレートとスライダーのコンビネーション。
今季の奪三振率は9.1と高く、制球も改善傾向にある。

一方で、投球テンポのムラや感情の起伏が大きい点は課題として指摘されている。
アメリカではメンタル面の安定が重視されるだけに、環境適応力が問われるだろう。

代理人スコット・ボラス氏の交渉力を考えれば、契約そのものは大型になる見通しだが、 メジャーで生き残るには「自制と継続」が不可欠だ。

ファンの複雑な声「誇りと寂しさ、そして疑問」

SNS上では、「エースの夢を応援したい」「でもタイミングが早い」と複雑な声が広がっている。
「西武は育てて売る球団になってしまったのか」と嘆くファンもいれば、
「メジャーで活躍してほしい」「47億円で未来を買う決断」と前向きに捉える意見も目立つ。

球団の将来像をどう描くか、ファンと球団の温度差も浮き彫りになっている。

まとめ|西武の「英断」と「清算」 再建への第一歩

今井達也のメジャー挑戦は、西武にとって“エースを失う痛手”であると同時に、“球団再建の起点”でもある。

高橋光成との二枚看板を一度に手放すリスクを承知の上で、譲渡金と新陳代謝を選んだ西武。
その決断には、「未来への投資」と「内部の整理」という二つの意図が透けて見える。

エースの放出を「厄介払い」と捉える向きもあるが、結果として球団が変化を受け入れた証でもある。
損得を超えた挑戦の先に、西武と今井の新たな物語が始まる。

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※当ブログは英会話教室「NOVA」とは一切関係ありません。ドメイン名の「nova」は偶然の一致です。

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