退職金の税金とは？知っておきたい退職所得課税の基本と計算法

2024年11月16日

退職金は長年の勤務に対する大切な報酬ですが、いざ受け取る際には税金がかかることを知っている人は意外に少ないものです。

退職金にかかる税金は、通常の給与所得とは異なるため、計算方法や税制優遇措置を理解しておくことが重要です。

退職金にかかる税金には、所得税や住民税、さらには復興特別所得税も含まれ、正しい計算方法を知らないと予想外の税負担がかかることもあります。

この記事では、退職金にかかる税金の仕組みと、賢く税負担を軽減する方法について解説します。

退職所得

退職所得の計算方法は、退職金額から「退職所得控除額」を引いた金額を2で割った額が課税対象額として算出されます。

これは、退職金に対して優遇措置を提供するための仕組みです。退職所得控除額は勤続年数に応じて決まるため、長く働いた人ほど控除が大きくなり、税負担が軽減されます。

退職金の支給額が高くても、退職所得控除を差し引くことで、税金の課税対象額が少なくなります。この仕組みによって、退職金を一度に多額に受け取った場合でも、支払う税金が大きく減ることが期待できます。

退職所得の計算式は以下の通りです。

退職所得の金額 = (退職金の収入金額 – 退職所得控除額) ÷ 2

この式により、退職金額から控除額を引いた後、その金額の半分だけが課税対象となるため、非常に優遇された計算方法が採用されています。

例えば、退職金が1,000万円の場合でも、控除額を差し引いた後にその金額の半分だけが課税対象となり、実際の税負担は少なくなります。

さらに、退職金が高額であっても税負担が軽減されることから、退職後の生活に対して大きな助けとなります。

退職所得控除額は、勤続年数に基づいて算出されます。

勤務年数が長ければ長いほど、控除額が多くなるため、退職時に支払う税金を軽減することができます。

具体的には、勤続年数が長くなるにつれて、退職金に対する控除額も増加し、その結果、課税対象となる退職金額が少なくなります。

この控除額の計算方法は、退職金にかかる税金を軽減するための重要な要素です。

退職所得控除額の詳細な計算方法は次の通りです。

この控除額を差し引いた後に課税対象額が決まります。

たとえば、15年勤務した場合、控除額は「40万円 × 15年 = 600万円」となり、その金額が退職金から差し引かれます。

長期勤務者は、退職所得控除額が多いため、実際に課税される金額が少なくなります。したがって、勤続年数が長いほど、税負担が軽減されるという仕組みとなっています。

退職金の課税は、分離課税方式という特別な方法で行われます。

この方式は、退職金を他の所得とは分けて計算することを意味します。

通常、給与所得と他の所得は合算して課税されますが、退職金は別途分離して計算され、他の所得とは合算されません。

そのため、退職金に対しては優遇措置が適用され、税負担が軽減される仕組みになっています。

退職金は企業が源泉徴収によって税金を差し引き、税務署に納付します。

このため、退職金を受け取った本人が自分で税金を納める必要は通常ありません。

ただし、特別な場合には確定申告が必要になることもあります。

特に退職金額が非常に大きい場合や、控除額が複雑な場合には、税務署に相談し、確定申告を行うことを検討すると良いでしょう。

退職金に課される税金は、以下の3つです：

所得税
退職金に対する所得税は、退職所得金額に応じて計算されます。税率は累進課税となっており、退職所得金額が高ければ高いほど、税率が高くなります。
復興特別所得税
これは、東日本大震災の復興資金を調達するための税金です。復興特別所得税は、所得税額の2.1%を追加して課税されます。復興特別所得税は、2037年まで適用されることが決まっています。
住民税
住民税は、各地方自治体に支払う税金であり、通常約10%程度の税率が適用されます。ただし、地域によって若干異なる場合があるため、具体的な税額については、居住している自治体の税率を確認することが重要です。