芸人ゆってぃがパニック障害を告白、収録中に「壁が迫ってきた」 明るさの裏に隠された心のSOS

「やわらかな光が差し込む草原に、小さなバンビが静かに草を食む様子。倒産後の再出発を象徴する希望の光が差す風景。」

「スーパーアイドルゆってぃ」として活動するピン芸人のゆってぃが2024年11月9日、Yahoo!ニュース オリジナル特集のインタビューでパニック障害と診断された経験を明かした。「ちっちゃい事は気にするな」のフレーズで知られ、自他ともに認める”陽キャ”の彼が、2020年8月にラジオ収録中に突然「壁が迫ってくる」感覚に襲われたという。妻でグラビアアイドルの石川あんなも同様の診断を受けており、夫婦で向き合う日々を送っている。明るさの裏に隠された心のSOSと、その後の葛藤について赤裸々に語った内容が大きな反響を呼んでいる。

目次

ゆってぃが告白したパニック障害 ラジオ収録中に襲った恐怖

■ ゆってぃのパニック障害告白の概要
項目 詳細
発表日 2024年11月9日
媒体 Yahoo!ニュース オリジナル特集
診断内容 パニック障害
初発時期 2020年8月(約5年前)
発症場所 コミュニティFMのラジオ収録中
主な症状 壁が迫ってくる感覚、心臓の激しい動悸、視界の狭窄、呼吸困難、発汗
妻の状況 石川あんな(グラビアアイドル)も同様にパニック障害と診断
特記事項 “陽キャ”として知られる芸人の告白として注目

「ちっちゃい事は気にするな」の芸人が語った”初めての恐怖” 2020年8月に突然襲った異変

キラキラ光る銀色の衣装に派手なヘアバンド。「お笑い界のスーパーアイドル」の異名をとるゆってぃは、常に能天気でポジティブな性格で知られ、学生の頃から人気者だった。周囲の芸人たちは口をそろえて「彼は”陽キャ”だ」と評する。そんな彼が人生で初めての「恐怖」を味わったのは、5年前のことだった。

2020年8月、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界中を恐怖に陥れていた時期である。感染リスクにおびえると同時に、外出も仕事も制限された。世間は「嫌なムード」に包まれ、エンタメ業界の仕事は激減していた。芸人たちは見えないウイルスの恐怖と、明日への不安に震え上がっていた。

その日、コミュニティFMでMCをやっていたゆってぃは、電車に乗ってラジオ局へと向かっていた。暑い日だった。マスクをしていることもあり、移動中にたくさん汗をかいたことを覚えているという。ラジオ局に着いて打ち合わせが終わり、収録が始まる前から違和感を覚え始めた。

「その日は収録ブースに入った時から『なんだか嫌だな』という感覚があったんです」とゆってぃは振り返る。放送が始まっても、「嫌な感覚」は消えなかった。やがて、自分に起きている強烈な異変に気がついた。周囲の壁が自分に向かって迫ってくるような感覚に襲われたのだ。

「周囲の壁がぐーって僕に近づいてきて、押しつぶされるような感覚。あれ、あれ、と思ったら一気に怖くなって、心臓はバクバクでした」。視界は狭くなり、呼吸は浅くなった。体中から汗が噴き出す。それでも収録中であったため、なんとかこらえようと腹に力を入れたという。

「適当なことをしゃべっていたと思うんですけど、頭の中は真っ白で、相手がしゃべっていることも頭に入ってきませんでした」。明るく振る舞うことで知られる芸人が、初めて味わった心の異変だった。

“陽キャ”イメージとパニック障害のギャップ 公表に至った背景と夫婦での向き合い方

ゆってぃにとって、自身のパニック障害を公表することは大きな決断だったに違いない。「ちっちゃい事は気にするな、それワカチコワカチコ」というポジティブなフレーズで知られ、常に明るく振る舞ってきた彼にとって、心の不調を明かすことはイメージとのギャップを生む可能性があった。

しかし、妻でグラビアアイドルの石川あんなも同様にパニック障害と診断されていることが、今回のインタビューで明かされた。夫婦ともに同じ症状を抱えているという事実は、互いに理解し合い、支え合う関係性を築く上で重要な要素となっているようだ。

石川あんなは過去に歯医者での治療中にパニック発作を起こした経験があり、2025年1月に第1子を出産した際には、無痛分娩を選択した背景にパニック発作への不安があったことを明かしている。夫婦は2022年に結婚し、2度の流産と不妊治療を経て、2024年11月に妊娠を発表している。

今回の告白について、Yahoo!ニュースのコメント欄では「陽キャのイメージで売り出しているゆってぃさんにとってパニック障害であることを明かすのは、勇気が必要なことだ」という声が寄せられるなど、その勇気ある決断に対する称賛の声が多く見られる。

■ パニック障害の一般的な症状とゆってぃのケース比較
パニック障害の一般的症状 ゆってぃが体験した症状
強い不安感や恐怖感 「押しつぶされるような感覚」「一気に怖くなった」
動悸・心拍数の増加 「心臓はバクバクでした」
息苦しさ・呼吸困難 「呼吸は浅くなった」
発汗 「体中から汗が噴き出す」
視覚の変化 「視界は狭くなり」「壁が迫ってくる感覚」
思考力の低下 「頭の中は真っ白で、相手がしゃべっていることも頭に入ってこない」

ゆってぃが体験した”見えない恐怖” パニック障害が突きつける「心のSOS」の本質

コロナ禍がもたらした「見えないストレス」と芸人たちの苦悩

ゆってぃがパニック障害の症状を初めて体験したのは、新型コロナウイルス感染症が世界中を席巻していた2020年8月のことだった。この時期、エンタメ業界は未曾有の危機に直面していた。ライブやイベントは次々と中止となり、テレビ番組の収録も大幅に制限された。多くの芸人たちが仕事を失い、将来への不安を抱えていた。

しかし、ゆってぃが体験したのは、コロナ禍そのものへの恐怖ではなかったという。「急に周囲の壁が迫ってきたんです。初めての体験で、怖かったですね」。この言葉が示すように、彼を襲ったのは説明のつかない、理不尽な恐怖だった。

パンデミックによる社会全体の不安やストレスは、目に見えない形で人々の心に蓄積されていた。外出制限や人との接触制限、経済的な不安、先の見えない状況への焦り。これらの要因が複合的に作用し、心身に大きな負担をかけていたのである。

「その日は収録ブースに入った時から『なんだか嫌だな』という感覚があった」というゆってぃの言葉は、身体が発する微細なSOSを示唆している。暑い日に電車でラジオ局へ移動し、マスクをしながらたくさん汗をかいた。この身体的な負担も、パニック発作の引き金になった可能性がある。

エンタメ業界で働く多くの人々が、この時期に同様の苦しみを味わっていた。明るく振る舞うことが仕事である芸人やタレントたちは、自身の不安を表に出すことができず、一人で抱え込んでしまうケースも少なくなかった。ゆってぃの告白は、そうした「見えない苦しみ」に光を当てるものとなった。

「壁が迫ってくる」感覚の正体 パニック発作が脳と身体にもたらす変化

「周囲の壁がぐーって僕に近づいてきて、押しつぶされるような感覚」。ゆってぃが体験したこの恐怖は、パニック障害の典型的な症状の一つである。医学的には「離人感」や「現実感の喪失」と呼ばれる現象に近いものだ。

パニック発作が起きると、脳の扁桃体という部分が過剰に反応し、「今、危険な状態にある」という誤った信号を身体に送る。その結果、交感神経が活発になり、心拍数が上がり、呼吸が浅く速くなる。これは本来、危険から身を守るための「闘争・逃走反応」だが、実際には危険がない状況で起こるため、本人は強い恐怖と混乱を感じることになる。

ゆってぃが「視界は狭くなり、呼吸は浅くなった。体中から汗が噴き出す」と語っているのは、まさにこの身体反応の表れである。さらに「頭の中は真っ白で、相手がしゃべっていることも頭に入ってこない」という状態は、脳が恐怖への対処に集中してしまい、他の情報処理能力が低下していることを示している。

特に注目すべきは、ゆってぃが「収録中であったため、なんとかこらえようと腹に力を入れた」という点である。パニック発作の最中に「平静を装おう」とすることは、実は症状を悪化させる可能性がある。しかし、仕事の最中という状況では、そうせざるを得なかった彼の苦しみがうかがえる。

収録ブースという密閉された狭い空間も、症状を悪化させる要因となった可能性が高い。閉所恐怖症とパニック障害は併発することも多く、「逃げ場がない」という感覚が恐怖を増幅させるのである。

パニック発作の体験フロー

漠然とした不安や違和感

身体的な変化の始まり(動悸、発汗など)

「何かおかしい」という気づき

恐怖感の急激な増大

複数の身体症状の同時発生(視界の変化、呼吸困難、思考力低下)

「死ぬかもしれない」という極度の恐怖

発作のピーク(数分~10分程度)

徐々に症状が落ち着く

疲労感と「また起こるかもしれない」という不安

妻・石川あんなも抱えるパニック障害 夫婦で支え合う日々の意味

ゆってぃの妻である石川あんなも、パニック障害と診断されている。彼女は過去に歯医者でのホワイトニング治療中、診察台の上でパニック発作を起こした経験があるという。「身動きが取れない状況に恐怖を感じた」と語っており、これもパニック障害の典型的なトリガーの一つである。

興味深いのは、夫婦ともに同じ症状を抱えているという事実である。これは一見すると困難な状況に思えるが、実際には互いの苦しみを深く理解し合える関係性を生んでいる可能性がある。「相手がどれほど辛いか」を体験として知っているからこそ、真の意味での共感と支援が可能になるのだ。

石川あんなは2025年1月に第1子を出産したが、その際に無痛分娩を選択した背景には、パニック発作への不安があったという。出産という大きなイベントを前に、自身の心身の状態と向き合い、適切な選択をした彼女の判断は、パニック障害を抱える人々にとって重要な示唆を与えている。

夫婦は2022年に結婚し、2度の流産という辛い経験を乗り越え、不妊治療を経て2024年11月に妊娠を発表した。この間、心身ともに大きなストレスを抱えていたことは想像に難くない。流産や不妊治療は精神的な負担が大きく、パニック障害の症状を悪化させる可能性もある。

しかし、二人はこうした困難を乗り越えてきた。それは互いに理解し合い、支え合う関係性があったからこそだろう。今回のゆってぃの公表も、妻の理解と支えがあってこそ実現したものと考えられる。

■ パニック障害に関するよくある質問
質問 回答
パニック障害は治るのか? 適切な治療(認知行動療法、薬物療法など)により、多くの人が症状をコントロールできるようになる。完治は難しい場合もあるが、日常生活への影響を最小限にすることは可能
“陽キャ”の人でもなるのか? 性格や外見的な明るさとは無関係に発症する。むしろ、明るく振る舞うことで内面のストレスを抑圧している人がリスクを抱える場合もある
パニック発作が起きたらどうすればいいか? まず安全な場所に移動し、深呼吸を試みる。「今は発作が起きているだけで、命に関わる状況ではない」と自分に言い聞かせることも有効。専門医への相談が重要
周囲はどう接すればいいか? 否定せず、本人の感じている恐怖を受け止める。「気にしすぎ」「気持ちの問題」といった言葉は避け、専門家への受診を勧める。必要に応じて付き添いなどのサポートを
仕事は続けられるか? 多くの人が治療しながら仕事を続けている。職場への相談や、必要に応じて配慮を求めることも重要。無理をせず、自分のペースで向き合うことが大切
再発のリスクは? ストレスや疲労が蓄積すると再発する可能性がある。しかし、自分のトリガーを理解し、適切な対処法を身につけることで、再発を予防したり、症状を軽減することは可能

「ちっちゃい事は気にするな」の言葉に込められた新たな意味 ゆってぃが示した「強さ」の本質

「ちっちゃい事は気にするな、それワカチコワカチコ」。ゆってぃのこのフレーズは、今回の告白を経て、新たな意味を持つようになった。それは単なるポジティブ思考の勧めではなく、自身の弱さと向き合い、それでも前を向こうとする姿勢の表れだったのかもしれない。

「陽キャ」として知られる彼がパニック障害を公表したことは、メンタルヘルスに関する重要なメッセージを社会に発信している。それは、「明るく見える人も心に苦しみを抱えている可能性がある」という事実であり、「弱さを見せることも一つの強さである」という真実である。

パニック障害は決して珍しい病気ではない。日本では約100人に1人が生涯のうちに経験するとされており、誰もがなり得る身近な疾患である。しかし、その症状の激しさと突然性から、当事者は「自分だけがおかしいのではないか」という孤独感を抱きやすい。

ゆってぃの告白は、同じ苦しみを抱える多くの人々にとって、「自分だけではない」という安心感と、「公表する勇気」の後押しとなるだろう。また、夫婦で支え合いながら向き合っている姿は、パートナーシップの在り方についても示唆を与えている。

2020年8月、ラジオ収録ブースで「壁が迫ってくる」恐怖を体験してから約5年。ゆってぃは今、自身の経験を言葉にし、社会に発信する段階に至った。これは彼自身がパニック障害と向き合い、ある程度の距離を置けるようになったことの証でもある。

■ ゆってぃのパニック障害告白まとめ
項目 内容
告白の概要 2024年11月9日、Yahoo!ニュースのインタビューで約5年前のパニック障害診断を公表
発症時の状況 2020年8月、コロナ禍でのラジオ収録中に初めてパニック発作を体験。「壁が迫ってくる」感覚、動悸、呼吸困難などの症状に襲われた
本人の特徴 「スーパーアイドルゆってぃ」として活動。「ちっちゃい事は気にするな」のフレーズで知られる”陽キャ”芸人
妻の状況 グラビアアイドルの石川あんなも同様にパニック障害と診断。夫婦で支え合いながら向き合っている
社会的意義 「明るい人も心の病を抱える」という事実の可視化。メンタルヘルスへの理解促進に貢献
反響 「勇気ある告白」として称賛の声。同じ症状を抱える人々への励ましとなっている

エンタメ業界で活躍する芸人が、自身の弱さをさらけ出すことは容易ではない。イメージの毀損や仕事への影響を恐れ、多くの人が沈黙を選ぶ。しかし、ゆってぃはその壁を越えた。それは彼自身のためだけでなく、同じ苦しみを抱える人々のためでもあるだろう。

「ちっちゃい事は気にするな」という言葉は、今や「心の不調も含めて、必要以上に自分を責めないでいい」というメッセージとして響く。完璧である必要はない。弱さを抱えながらも、それを受け入れて前に進む。それこそが真の強さであり、ゆってぃが今回の告白を通じて示した「生き方」の本質なのかもしれない。

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※当ブログは英会話教室「NOVA」とは一切関係ありません。ドメイン名の「nova」は偶然の一致です。

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