西山朋佳女流三冠の挑戦が注目を集めた「将棋界初の女性棋士誕生」という夢。
しかし、その夢は2025年1月22日の棋士編入試験での敗北によって再び遠のきました。
女性初の棋士誕生を目指したその挑戦の背景や、将棋界における背景とともに、将棋界の制度に迫ります。
西山朋佳女流三冠の挑戦
2025年1月22日、西山朋佳女流三冠(29)は、大阪府高槻市の関西将棋会館で行われたプロ棋士編入試験五番勝負第5局に臨み、柵木幹太四段(26)との対局で敗北を喫しました。
これにより、西山女流三冠は対戦成績2勝3敗となり、女性初の棋士誕生は実現しませんでした。
柵木四段は、「プレッシャーがかかる対局だったが、いざ始まるといつも通り指せた」と振り返り、西山女流三冠は試験を通じて得た経験を大切にする姿勢を見せました。
将棋界の二つのプロ制度:女流棋士と棋士の違い
日本の将棋界には、男女を問わない「棋士」と、女性限定の「女流棋士」という二つのプロ制度があります。
棋士は男女を問わず競技し、名人や竜王などの主要タイトルを争いますが、女流棋士は女性のみが対象であり、女流名人や女流王位、女流王将などのタイトルを競い合います。
女流棋士は、男性棋士と同様にプロとして認められており、将棋界で活動しています。
しかし、その制度は男性棋士とは別のカテゴリーに位置しており、男女が同じ土俵で戦うわけではありません。
将棋界で女性棋士が登場するためには、女性が棋士に昇格する必要があり、そのためには棋士編入試験に合格するか、奨励会での活躍が求められます。
西山朋佳女流三冠の棋士編入試験への挑戦
西山朋佳女流三冠は、2022年に棋士編入試験に挑戦し、注目を集めました。
これは、将棋界の性別の壁を破る大きな試みでした。
西山女流三冠は、奨励会での成績が優秀であり、三段リーグ突破を目前に控えていましたが、年齢制限により奨励会を退会し、女流棋士に転向。
その後も女流棋界では、福間香奈女流五冠(32)とともにタイトルを二分する状態が続きました。
棋士編入試験は、若手棋士5人との対局で、3勝すればプロの四段に昇格し、3敗すれば不合格となるという厳しい試験です。
西山女流三冠は第1局と第4局に勝利し、女性初の棋士誕生まであと一歩のところまで迫りましたが、最終的には2勝3敗の結果に終わり、合格には至りませんでした。
将棋界の歴史と女性棋士の誕生への期待
将棋界には長年、女性棋士が存在しなかった時代が続きました。
初めて女流棋士制度が創設されたのは1974年であり、それ以前の将棋界には女性棋士が登場することはありませんでした。
しかし、女性棋士の誕生は、将棋界の歴史的な転換点として注目されており、60年来の悲願が達成されることを期待する声も多くあります。
1961年には、女流棋士第1号となる蛸島彰子女流六段が奨励会に入会し、将棋界における女性棋士の道が開かれました。
しかし、それから数十年にわたり、女性が棋士として活躍する機会は限られており、女性初の棋士誕生は依然として実現していません。
西山女流三冠の挑戦は、その期待を一手に背負っていたものの、今回の結果により、再び次の挑戦者にその夢を託すこととなりました。
女流棋士とプロ棋士の違い
女流棋士は、プロ棋士とは異なる制度で活動していますが、プロ棋士という点では同じく競技者として認められています。
女流棋士は、女性限定の公式戦で活躍し、女流名人や女流王位、女流王将などのタイトルを争いますが、プロ棋士は男女を問わず参加する大会で名誉あるタイトルを競い合うため、女流棋士はその枠内で評価されることとなります。
将棋界で女性棋士が誕生することは、女性の活躍の場が広がることを意味します。
男性棋士との実力差を縮め、将来的に女性棋士が名人戦や竜王戦などの主要棋戦に挑戦することが期待されています。
性別に関係なく実力で競う将棋界の未来が、女性棋士の登場によってさらに魅力を増すことは間違いありません。
西山朋佳女流三冠の今後の活躍
試験に不合格となったとはいえ、西山朋佳女流三冠の将棋界での位置付けは依然として非常に高いものがあります。
彼女は今後も女流棋界で活躍し、女流棋士としてのさらなる飛躍を遂げることが期待されています。
また、将棋界の性別の壁を打破しようとする彼女の挑戦は、将棋界に新たな風を吹き込む重要な役割を果たしており、彼女のこれからの成長に注目が集まります。
西山女流三冠は、試験が年明けまで続くとは想像していなかったと語りつつも、充実した期間だったと振り返り、今後も女流タイトル戦に向けた準備を進めていく意欲を見せました。
「落ち込んでいる暇はない」と前向きに語る姿からは、将棋界の活性化に貢献する彼女の強い意志が感じられます。これからも、女流棋界の魅力をさらに増していく西山朋佳女流三冠に期待したいところです。
将棋界の未来と女性棋士の役割
将棋界における女性棋士の登場は、将棋をより多くの人々に広め、将棋界のダイバーシティを促進する重要な一歩です。
西山朋佳女流三冠の挑戦は、将棋界の性別の枠を超えた競争を促進するものであり、今後も女性棋士が活躍できる場が広がっていくことを期待します。
将棋の未来は、女性棋士の活躍にかかっているとも言えるでしょう。
将棋界は、性別に関係なく実力のある者がプロ棋士として活躍できる場所であり、女性棋士がその中で活躍する姿を見て、将棋の未来を支える次世代の女性棋士が現れることを願っています。
まとめ
- 西山朋佳女流三冠が将棋界初の女性棋士誕生を目指して挑戦。
- 2025年1月22日、棋士編入試験で2勝3敗となり不合格。
- 将棋界には「棋士」と「女流棋士」の二つのプロ制度が存在。
- 女流棋士は女性限定のタイトル戦に出場し、男性棋士とは別枠。
- 西山女流三冠は棋士編入試験で注目の存在だった。
- 不合格となったが、今後の活躍に期待が寄せられている。
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