「バブル期に造られ過ぎたゴルフ場は、このまま数を減らし続けて消えてしまうのか」――。近年、ゴルフ場の倒産や廃業、メガソーラー用地への転用といったニュースを目にする機会が増え、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
一見すると厳しい局面を迎えているゴルフ業界ですが、都市部近郊のコースでは過去最高の利益を上げる事例が出るなど、明確な「二極化」が進行しています。ゴルフ場は単に減少しているのではなく、時代に合わせた新たな生存戦略と多様な棲み分けを模索するフェーズに入っています。
この記事では、ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典氏の考察をもとに、ゴルフ場が抱える現状と課題、淘汰されるコースの特徴、そして今後の見通しについて詳しく解説します。
この記事の要点まとめ
- 二極化の進行:都市部近郊のコースが満員御礼で過去最高益を出す一方、地方・郊外のコースは集客難が継続。
- 多様な棲み分け:高級名門コースから手軽なコースまで、飲食業のように需要に応じた役割分担が完成しつつある。
- バブル期の遺産:かつて造られ過ぎたことでリーズナブルなコースが増え、若手ゴルファー増加というプラス面も存在。
- 生き残りの条件:かつての「高級ブランド」のプライドに固執し、変化に応じられないコースは淘汰の危機に直面。
ゴルフ場の現状と二極化が進む背景
ゴルフ場業界では今、好調なコースと苦戦するコースの間で極端な差が生まれています。一括りに「ゴルフ離れ」とは言えない複雑な市場環境の変化について詳しく見ていきましょう。
都市部近郊の好調と地方コースの苦戦
コロナ禍以降、屋外で安全に楽しめるレジャーとしての再評価や若い世代の参入により、アクセスが良い都市部近郊のゴルフ場は平日・休日を問わず盛況を見せています。中にはバブル期並み、あるいは過去最高の利益を記録するゴルフ場も登場しています。
しかしその一方で、移動に時間がかかる地方や郊外のコースでは集客に苦戦する状況が続いており、経営の厳しさからメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業会社へ売却されるケースも散見されます。
バブル期過剰供給がもたらした好影響とは
1980年代後半から1990年代初頭のバブル経済期において、日本全国でゴルフ場の開発ラッシュが起きました。「ゴルフ場が多すぎる」という批判は根強くありますが、この過剰供給があったからこそプレー料金の価格破壊が起こり、低価格でプレーできる環境が整備されたという側面も見逃せません。
💡 バブル期の過剰開発が残した功罪
「供給過多による経営破綻」という問題を生んだ一方で、「手軽なプレー料金の実現」により敷居を下げ、若い世代やライト層のゴルファー急増を支えるインフラになったと言えます。
ゴルフ場の構造変化と市場のデータ整理
飲食業界に多様な業態が存在するように、現代のゴルフ場もそれぞれのターゲットに応じた役割分担を深めています。現在の業界の構図を比較・整理しました。
■ ゴルフ場の業態・棲み分け構造表
| タイプ | 特徴・集客状況 | 立地・料金帯 | 経営の方向性 |
|---|---|---|---|
| 超名門・高級コース | 会員制中心。夏場などは紹介制枠でビジターを受け入れ、高い顧客満足度を維持。 | 都市近郊・高価格帯 | 質の維持・ブランド価値向上 |
| 一般パブリックコース | ネット予約などで若年層や初心者を取り込み、平日も安定した稼働率。 | 中距離・中〜低価格帯 | 効率経営・カジュアル化 |
| プライド固定型(迷走) | かつての「高級感」を捨てきれず、料金設定やサービスが市場需要と乖離。 | 地方・中価格帯 | 倒産・廃業のリスク高 |
今後「淘汰されるコース」と「生き残るコース」の差
ゴルフ場がすべて消滅するわけではありませんが、時代の変化に適応できないコースは今後も厳しい選択を迫られることが予想されます。その明暗を分けるポイントを探ります。
最も危険なのは「元・高級」というプライドから脱却できないゴルフ場
篠原氏の分析で最も注意すべきとされているのが、「かつて高級ゴルフ場であった」という誇りに縛られているコースです。
名門や高級を謳いつつも、立地や設備更新が伴っていない場合、市場の需要と供給のバランスから取り残されてしまいます。敷居の高さや過度な格式を守ろうとするあまり、新規のライト層やカジュアルゴルファーを取り込めず、経営悪化に直面するケースが目立ちます。
⚠️ 経営難に陥りやすいコースの特徴
- 過去の栄光やプライドにこだわり、柔軟な集客プランを出せない
- 都市部からのアクセスが非常に悪く、特徴的な強みがない
- 設備投資やコースメンテナンスが行き届かず、顧客満足度が低下している
遠方コースでも需要を獲得する工夫と生存策
一方で、立地条件が不利なへんぴな場所にあるゴルフ場であっても、料金設定やオープンコンペの企画、スループレー対応、フレンドリーな接客など、独自の工夫でリピーターを獲得している場所は存在します。こうした努力を重ねるコースにはバブル期以来となる休日満員・キャンセル待ちが発生するなど、確かな需要が戻っています。
読者・ゴルファーが知っておくべきポイント
日本のゴルフ環境を守り、自身も充実したゴルフライフを楽しむために、一人のゴルファーとして意識できるポイントを整理しました。
🌱 ゴルファーとして意識したい3つの姿勢
- 自分のスタイルに合ったゴルフ場選び:高級感、コストパフォーマンス、アクセスの良さなど、目的に合ったコースを選択する。
- 多様なコースへの来場と利用:お気に入りのコースだけでなく、様々なゴルフ場に足を運ぶことが業界全体の需要を支える。
- ゴルフ場のマナーやルールの遵守:名門コースのビジター利用時などはドレスコードや慣行を守り、お互いがハッピーになる利用を心がける。
よくある質問(FAQ)
ゴルフ場の倒産や今後の存続に関して、読者が気になりやすい疑問点についてFAQ形式で解説します。
まとめ
今回の記事で解説したゴルフ場業界の現状と見通しは以下の通りです。
- ゴルフ場は一律に減少しているのではなく、都市部近郊の盛況と地方の苦戦という「二極化」が明確になっている。
- 飲食業のように高級店からリーズナブルな店舗まで棲み分けが進み、ユーザーが選択しやすい環境が整いつつある。
- 過去の「高級プライド」に執着し、市場変化に対応できないコースほど淘汰のリスクが高い。
- プレーヤー自身が自分に適したコースを選び楽しむことが、ゴルフ場の存続につながる。
ゴルフ場の淘汰や廃業というニュースは一見ショッキングに映りますが、それは時代に合わせた産業構造の変化そのものでもあります。
高級コースからカジュアルなパブリックコースまで、多様な選択肢が存在する今の環境は、歴史の中で作られてきた貴重な財産です。
私たちがゴルフを楽しみ、プレーし続けること自体が、次の時代のゴルフ場を形成する力になります。
お気に入りのコースに足を運び、その魅力や価値を再発見しながら、この国のゴルフ文化を温かく見守っていきましょう。

