相続税 路線価 払えない、地価高騰で売却増加の実態と対策

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2025年分の相続税路線価が4年連続で上昇し、前年比2.7%増となりました。都市部や観光地を中心に地価高騰が止まらず、相続税の評価額が跳ね上がっています。千葉県市川市では路線価が10年で2.3倍に達し、東京都心部では標準的な土地で評価額8600万円に達するケースも報告されています。親から受け継いだ土地であっても相続税が払えず、売却を余儀なくされる家庭が増加している現状と、今からできる対策について詳しく解説します。

相続税路線価の上昇が止まらない現状

2025年7月1日に国税庁が発表した相続税路線価は、全国平均で前年比2.7%上昇しました。これで4年連続の上昇となり、都市部や観光地を中心に地価の高騰が続いています。

相続税路線価とは、相続税や贈与税を計算する際に用いられる土地の評価額の基準です。この路線価が上がると、同じ土地でも相続税の負担が重くなります。一般的に公示地価の約80%を目安に設定されますが、人気エリアでは市場価格がさらに上回ることも珍しくありません。

特に東京都港区麻布十番など都心部では路線価が大幅に上昇しており、一般的な住宅地でも相続税評価額が数千万円単位で増加するケースが出ています。報道では、麻布十番エリアの標準的な土地で相続税評価額が8600万円に達する可能性があると試算されています。

📌 路線価上昇の要点

  • 2025年の相続税路線価は4年連続上昇、前年比2.7%増
  • 千葉県市川市行徳では10年で路線価が2.3倍に到達
  • 東京都心部では評価額8600万円に達するケースも
  • 相続税が払えず土地売却する家庭が増加傾向
  • 観光地でも地価上昇が全国に波及中

地価高騰による相続税負担の実例

具体的な数字で見ると、地価高騰の影響の大きさが実感できます。

千葉県市川市行徳駅前の商業地では、2015年に1平方メートルあたり44万円だった路線価が、2025年には101万円と約2.3倍に上昇しました。仮に100平方メートル(約30坪)の土地を相続する場合、評価額は4400万円から1億100万円へと5700万円も増加したことになります。

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円となり、2015年時点では相続税がかからなかった土地でも、2025年には約5900万円が課税対象となります。

相続税率は累進課税のため、この場合の税額は数百万円から1000万円以上に達する可能性があります。現金資産が少ない家庭では、こうした相続税を支払うために土地の一部または全部を売却せざるを得ません。

東京都心部ではさらに深刻です。麻布十番エリアの標準的な住宅地では、法定相続人が2人の場合、課税対象額は約4400万円となり、相続税額は600万円から800万円程度になると試算されます。

地価高騰が進む背景と社会的要因

地価高騰の背景には、複数の社会的要因が絡み合っています。

まず、都心回帰の流れが挙げられます。コロナ禍を経てテレワークの定着により一時的に郊外への移住が進みましたが、その後はオフィス回帰とともに都心や都心近郊の利便性が再評価されています。

また、外国人投資家による不動産投資の増加も大きな要因です。円安が進行したことで、海外から見た日本の不動産は割安に映り、投資マネーが流入しています。特に東京、大阪、京都などの主要都市では、商業地・住宅地ともに需要が高まっています。

さらに、再開発プロジェクトの進展も地価を押し上げています。千葉県市川市の行徳エリアでは、駅周辺の再開発が進み、マンション建設や商業施設の開業が相次いでいます。こうした開発は地域の利便性を高め、結果として地価上昇を招いています。

加えて、住宅ローン金利の低水準維持も影響しています。金利が低いため不動産購入のハードルが下がり、需要が高まることで価格が上昇する循環が生まれています。

土地を売却せざるを得ない住民の声

地価高騰の影響を最も強く受けているのは、古くから土地を所有してきた住民です。

千葉県市川市行徳地区に住む70代女性は「この周辺でも、相続税が払えずに家を売ってしまった人がいます。昔からの土地は広いので、戸建分譲用地として売却するか、マンションにする人が多いですね。私の家も、子どもにちゃんと相続できるか不安です」と語っています。

同様の不安は都心部でも共通しています。港区や渋谷区など地価が特に高いエリアでは、親から引き継いだ土地であっても、相続税の支払いのために土地の一部または全部を売却せざるを得ない事例が増えています。

また、商店主からは「土地の評価額が上がると固定資産税も上がり、商売を続けるのが難しくなる」という声も聞かれます。地価高騰は相続税だけでなく、毎年の税負担も増やすため、長年その土地で事業を営んできた人々の経営を圧迫しています。

地域コミュニティへの影響も深刻です。古くからの住民が土地を手放すと、その土地は多くの場合マンションやアパートに変わります。新しい住民との交流が生まれる一方で、長年培われてきた地域のつながりが失われるという課題も指摘されています。

SNSで広がる相続税問題への反応

SNS上では、地価高騰と相続税問題について多くの意見が飛び交っています。

「親から受け継いだ家なのに、相続税が払えないから手放すしかないなんておかしい」「地価が上がっても給料は上がらない。税金だけ高くなるのは不公平だ」といった不満の声が目立ちます。

一方で、「相続税は資産の再分配として必要。土地持ちが優遇されすぎるのも問題」「売却すればまとまったお金が入るのだから、必ずしも不幸とは言えない」といった意見もあります。

また、「親が元気なうちに相続対策を始めるべき。生前贈与や遺言書の準備は必須」「税理士に相談したら、思ったより節税できることが分かった」など、対策の重要性を訴える声も多く見られます。

若い世代からは「そもそも土地を相続できる前提の話。自分たちの世代は持ち家すら買えない」という厳しい指摘もあり、世代間の資産格差を浮き彫りにしています。

地方在住者からは「都市部の問題だと思っていたが、観光地化が進んで自分の町でも地価が上がり始めている」との報告もあり、問題が全国に広がりつつあることがうかがえます。

専門家が指摘する相続税対策の重要性

不動産業界や税務の専門家は、今回の地価高騰と相続税問題について分析しています。

千葉県市川市で不動産業を営む関係者は「浦安や行徳エリアは、景気が良くて都心部の戸建てやマンションの値段が上がると、それに手が届かない層が集まる傾向にあります。6000万円以下で購入できることが一つの基準です」と指摘しています。

つまり、都心の価格上昇が周辺地域への需要を押し上げ、結果的に広範囲で地価が上昇する構造になっているのです。

税理士からは「相続税対策は生前から計画的に行う必要がある」との声が上がっています。具体的には、生前贈与の活用、小規模宅地等の特例の適用、生命保険の活用などが推奨されています。

特に小規模宅地等の特例を使えば、居住用宅地については330平方メートルまで評価額を80%減額できるため、大きな節税効果が期待できます。

また、不動産鑑定士は「路線価は公示地価の約80%を目安に設定されるため、実際の市場価格とは差がある。ただし、人気エリアでは市場価格が路線価を大きく上回ることも多く、売却すれば納税資金を確保できるケースもある」と説明しています。

相続税が払えない場合の具体的対策

相続税が払えない場合、以下のような対策があります。

第一に、延納制度の活用です。相続税は原則として現金一括納付ですが、延納制度を利用すれば分割払いが可能になります。ただし、利子税がかかるため総支払額は増加します。

第二に、物納制度の利用です。相続した不動産そのもので納税する方法で、現金が用意できない場合の選択肢となります。ただし、物納が認められるには厳格な要件があります。

第三に、金融機関の相続税支払い専用ローンです。一部の銀行では土地を担保に納税資金を借り入れることができます。ただし、返済負担が家計を圧迫するリスクがあります。

第四に、土地の一部売却です。相続した土地の一部を売却して納税資金を確保する方法で、実際に多くの家庭が選択しています。

最も重要なのは、生前からの対策です。年間110万円までの暦年贈与、小規模宅地等の特例が使えるよう同居する、生命保険の活用(死亡保険金は500万円×法定相続人数まで非課税)、養子縁組で法定相続人を増やす、賃貸経営で土地の評価額を下げるなどの方法があります。

よくある質問

Q1. 相続税の基礎控除額はいくらですか?

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人の場合、基礎控除額は4800万円となります。相続財産の総額がこれを超えた場合に相続税が課税されます。

Q2. 小規模宅地等の特例とは何ですか?

小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たす居住用や事業用の宅地について、相続税評価額を大幅に減額できる制度です。居住用宅地の場合、330平方メートルまで評価額を80%減額できるため、大きな節税効果があります。

Q3. 地価は今後も上がり続けますか?

短期的には金利上昇や経済悪化で地価が下がる可能性はあります。長期的には、人口減少により地方や郊外の地価は下落すると予想されていますが、東京など主要都市の中心部は需要が維持されると見られています。ただし、将来の地価を正確に予測することは困難です。

まとめ

2025年の相続税路線価は4年連続で上昇し、都市部や観光地を中心に地価高騰が続いています。千葉県市川市では10年で路線価が2.3倍に達し、相続税が払えずに土地を売却する家庭が増加しています。

相続税対策は事前の準備で大きく負担を軽減できます。生前贈与、小規模宅地等の特例、生命保険の活用など、さまざまな方法があります。親が元気なうちに家族で話し合い、税理士などの専門家に相談することが重要です。

相続税が払えない場合でも、延納制度や物納制度、金融機関のローンなど複数の選択肢があります。突然の相続で慌てないよう、今から情報収集と準備を始めましょう。

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