寒い冬に需要が高まるチーズですが、今、輸入価格の高騰を背景に「国産チーズ」の魅力が改めて見直されています。先日開催された国内最大級のコンテストでは、出品数が過去最多を記録し、日本独自の風土や技術を活かした「日本ならではの味」に熱い視線が注がれました。世界的な名門シェフをも驚かせた、繊細で奥深い国産チーズの進化はどこまで進んでいるのでしょうか。酪農家の情熱と創意工夫が生み出す、最新のチーズ事情が気になりませんか?今回は、国際大会でも高く評価され始めた国産チーズの最前線を深掘りします。
【この記事の要点】
- 「ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」で出品作が過去最多を更新
- 滋賀県の牧場が作る「ラクレット」が最高賞の農林水産大臣賞を受賞
- ふなずしの「飯(いい)」を活用するなど、日本独自の菌による発酵が話題
- 国内のチーズ工房数は20年で3倍以上に増加し、国際的な評価も向上
1. 国産チーズの祭典!過去最多の出品で沸くコンテストの現状
2年に1度開催される「ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」。15回目を迎えた今回の大会には、全国121軒の工房から過去最多となる284点もの逸品が集結しました。円安の影響で輸入チーズの価格が上昇する中、国内の職人たちが手掛ける高品質なチーズへの期待がかつてないほど高まっています。
審査の結果、グランプリである農林水産大臣賞に輝いたのは、滋賀県甲賀市の牧場が作る「ラクレット」でした。スイスやフランスの伝統的なチーズをモデルにしながらも、日本の地で育まれたミルクの力が最大限に引き出されたその味わいは、多くの審査員を虜にしました。
2. 背景にある酪農のこだわり:ストレスフリーな環境が生むミルク
最高賞を受賞した牧場は、創業100余年を誇る老舗です。その最大の特徴は、牛を繋がずに自由に歩き回らせる「フリーバーン牛舎」を採用している点にあります。ストレスのない環境でのびのびと育った約170頭の牛から絞られる新鮮な牛乳こそが、極上チーズの源泉です。
「あまり牛乳を傷めることなく、チーズ作りの工程に入れるのが利点」と代表が語る通り、場内に併設された工房で即座に加工されるスピード感が、雑味のないクリアなミルクの香りをチーズに封じ込める鍵となっています。本業である酪農への深い愛情が、加工品としてのチーズの質を押し上げているのです。
3. 日本独自の進化:ふなずしや魚醤が生む「和のうまみ」
今回のニュースで最も注目を集めたのが、日本ならではの発酵技術との融合です。受賞した牧場では、滋賀県特産の「ふなずし」を作る際に使用される「飯(いい=ご飯)」を使って乳酸発酵させたチーズと同じ熟成庫で、ラクレットを寝かせています。
庫内に浮遊する特有の菌が付着することで、伝統的な欧州のラクレットにはない、日本独自のコクとうまみがプラスされます。さらに、石川県能登地方の魚醤「いしる」を活用したチーズ作りにも挑戦するなど、地域の食文化を取り入れた新しいチーズの形が模索されています。
4. 具体的描写:専門家も驚く「フランスを彷彿とさせる」クオリティ
都内の有名フレンチレストランの総支配人は、受賞作を「香りをかいだ瞬間、フランスにパッと飛んだ感覚がした」と絶賛しています。マイルドで優しい口当たりの中に、結晶化したうまみが広がるそのクオリティは、本場を知るプロにとっても「まさか日本でこれほどのものが」と思わせるレベルに達しています。
薄く切って口に運べば、滑らかな食感とともにほのかな甘みが広がり、噛むほどに層をなして変化していく味わい。加熱して溶かすのが一般的なラクレットですが、生のままでも十分にその奥行きを楽しめるのが、この国産チーズの真骨頂です。
5. 拡大する市場:20年で工房数は3倍以上に増加
日本国内のチーズ工房は、平成18年の106軒から現在では347軒(令和6年時点)へと、20年足らずで3倍以上に急増しています。生産量も4万5000トンを超え、北海道から沖縄まで全国各地で個性的なチーズが誕生しています。
以前は「海外の模倣」と言われることもあった国産チーズですが、現在は海外の技術を取り入れつつも、日本人の繊細な嗜好に合わせた独自の味作りが主流となっています。この多様化と質の向上が、現在の国産チーズブームを支える強固な土台となっています。
6. SNSと消費者の反応
国産チーズの盛り上がりに対し、SNS上では以下のような反応が見られます。
- 「最近の国産チーズ、海外産に負けないくらい美味しいし、何より日本のお酒に合う」
- 「コンテストの結果を見て、滋賀まで買いに行きたくなった!」
- 「地元の食材を使ったチーズがあるなんて知らなかった。応援したい」
- 「輸入物が手に入りにくくなった分、国産の良さに気づくきっかけになった」
地産地消への意識の高まりや、生産者の顔が見える安心感も、消費者の支持を集める要因となっているようです。
7. 今後の展望:国際大会での上位入賞と世界への挑戦
コンテストを主催する中央酪農会議によると、日本のチーズは今や国際大会でも上位入賞を果たすなど、世界レベルの評価を得始めています。日本ならではの「繊細さ」や「素材の活かし方」は、海外の審査員からも高く評価されています。
今後は、日本独自の菌(麹や地方の発酵食品)を活用したチーズが「JAPANESE CHEESE」という一つのジャンルとして確立されることが期待されます。酪農の衰退が危惧される中、高付加価値なチーズ作りは、地域経済を活性化させる切り札としても注目を集め続けるでしょう。
【FAQ:国産チーズに関するよくある質問】
Q:国産チーズはどこで購入できますか?
A:各工房のオンラインショップのほか、最近では百貨店のチーズ専門店や、地域のアンテナショップでも取り扱いが増えています。
Q:輸入チーズとの大きな違いは何ですか?
A:輸送時間が短いため、より新鮮なミルクの風味を感じられる点や、日本人の味覚に合わせた塩分控えめで繊細な味わいのものが多いのが特徴です。
【まとめ】
円安や物価高という厳しい状況を追い風に変え、日本のチーズ文化は今、劇的な進化を遂げています。伝統を重んじつつも、ふなずしや魚醤といった独自の文化を取り入れる柔軟な発想こそが、世界に通用する国産チーズの魅力です。過去最多の出品数を記録した今回のコンテストは、まさにその夜明けを象徴する出来事でした。食卓に並ぶチーズを国産に変えてみる、そんな小さな選択が、日本の豊かな酪農の未来を支える一歩になるかもしれません。
