鳶工事業の倒産が過去最多ペース!16年ぶり100件超の背景や理由は?

当ページのリンクには広告が含まれています。
novaステージ リスクニュース nova11のロゴバナー画像

PR

建設現場の「花形」として現場を支える「鳶(とび)工事業」が、かつてない深刻な苦境に立たされています。東京商工リサーチの調査により、2026年1〜8月の倒産件数が110件に達し、過去最多ペースで推移していることが判明しました。

16年ぶりに100件を突破した背景には、空前の職人不足や資材・人件費の高騰といった構造的な課題が存在します。有効求人倍率が7.94倍に達する一方で、コスト増加分を価格転嫁できない小規模事業者が追い詰められています。

この記事では、倒産急増のデータや背景、大手との業績二極化、今後の建設業界や身近な生活への影響まで、分かりやすく整理して解説します。

要点 ニュースの重要ポイントまとめ
  • 倒産件数が急増:2026年1〜8月で110件(前年同期比26.4%増)。年間170件ペースで過去最多を視野。
  • 主な倒産原因:売上不振や赤字累積などの「業績不振」が9割超。物価高や人手不足倒産も急増。
  • 倒産企業の規模:資本金1,000万円未満が89.0%、従業員10人未満が91.8%と小・零細企業に集中。
  • 極端な求人難:全業種の有効求人倍率1.18倍に対し、鳶職人を含む建設躯体職種は「7.94倍」の超人手不足。
  • 業界内の格差:業界全体の売上は増収増益だが、完工高1億円未満の小規模業者は37.5%が赤字状態。
この記事で得られる情報

1. 鳶工事業で何が起きているのか?倒産件数の急増と現状

建設現場で足場設置や鉄骨組み立てを担う鳶工事業において、記録的なペースで事業停止や破産が相次いでいます。まずは発表されたデータから、具体的な被害・規模の全貌を確認していきます。

16年ぶりの100件超え!リーマン・ショック時を超える勢い

東京商工リサーチ(TSR)が集計したデータによると、2026年1月から8月までの「鳶工事業」の倒産(負債1,000万円以上)は110件に達しました。前年同期と比較して26.4%増加しており、1〜8月の同期集計で100件を超えたのは2010年(101件)以来、実に16年ぶりのことです。

1989年以降の過去データと比較しても、金融危機の影響を受けた2009年同期(105件)を上回るペースです。年間最多記録である2010年の148件を塗り替え、2026年通年では170件前後に達する可能性が高まっています。

地域別の倒産傾向:
最も倒産件数が多い都道府県は大阪府(11件)で、愛知県(9件)、神奈川県・千葉県・宮城県(各8件)と続いています。都市部での倒産が目立つ一方、再開発が活発な東京都は4件にとどまっており、地域や都市再開発の進行具合によって差が出ていることが分かります。

2. なぜ倒産が急増?職人不足と物価高のダブルパンチ

鳶業界を追い詰めている背景には、単なる受注減だけでなく、「人手不足による人件費高騰」と「資材などのコスト高」という2つの大きな障壁が存在します。

有効求人倍率7.94倍!異常な人手不足と若手育成の壁

厚生労働省の統計によると、一般的な全業種の有効求人倍率が1.18倍であるのに対し、鳶職人を含む「建設躯体工事従事者」の求人倍率は7.94倍という極めて高い水準にあります。これは、求職者1人に対して約8件の求人があるという深刻な人材奪い合いの状態を意味します。

鳶職人の仕事には高度な技術と経験、安全確保のための厳しい知識が求められます。しかし、過酷な作業環境などを理由に若者の「鳶離れ」が進んでおり、採用難と育成の困難さが事業継続の大きな足を引っ張っています。人手不足に起因する倒産は19件(前年同期10件)とほぼ倍増しており、従業員の退職や後継者難が直結しています。

物価高・コスト上昇と価格転嫁の難しさ

さらに「物価高倒産」も9件発生し、前年同期(3件)から3倍に急増しました。資材費や搬送費、人件費が跳ね上がる一方で、元請け企業に対する価格交渉力が弱い下請け・孫請け企業は、上昇したコストを施工価格に反映できず、赤字を溜め込む構造に陥っています。

注意点:倒産原因の割合
倒産の主な原因としては、売上不振が78件(70.9%)、赤字累積が24件(21.8%)となっており、業績不振を理由とするものが全体の92.7%を占めています。

3. 数字で見る規模と構造:小・零細企業への打撃と業績二極化

今回の分析では、倒産している企業の規模に極端な偏りが見られるほか、業界全体としては増収増益でありながら小規模層が取り残される「二極化」が浮き彫りになりました。

分析項目 データ・件数 構成比・特徴
資本金1,000万円未満 98件 全体の89.0%(小・零細規模が過半数)
従業員数10人未満 101件 全体の91.8%(少人数経営の限界)
完工高1億円未満の赤字率 37.5% 約4割が赤字経営(極めて高水準)
完工高10億~50億円の赤字率 7.0% 中堅・大手は相対的に安定

主要企業1万5,941社の集計では、売上高合計は3兆2,165億円(前期比4.5%増)、純利益は1,045億円(同24.4%増)と、業界全体としては業績良好に見えます。しかし実際は、資材調達や人件費交渉の力を持つ大手・中堅企業が利益を伸ばす一方で、完工高1億円未満の小規模業者は37.5%が赤字という「深刻な規模格差」が生じています。

4. 社会や建設業界、暮らしへの影響

鳶工事業の倒産増加は、単一業界の問題にとどまらず、建設プロジェクト全体や私たちの生活基盤にも直結する影響を及ぼします。

工事遅延や工期延期のリスク上昇

鳶職人は施工現場の「最初に現場に入り、安全な足場を組み、骨組みを作る」重要な役割を果たします。そのため、鳶業者の倒産や人手不足によって足場設置などが滞ると、施工全体のスケジュールが止まるリスクがあります。住宅の完成遅れや公共工事・インフラ整備の長期化が懸念されます。

不動産価格や建築コストへの波及

職人の確保に向けた人件費のさらなる上昇や、工程遅延に伴う管理コストの増加は、最終的に新築マンションや注文住宅の価格、ビルのテナント賃料などに転嫁される可能性があります。

5. 今後の見通しと業界課題

今後の建設業界において、小・零細企業が生き残るための課題や、必要な支援策について考察します。

現在の倒産ペースが続けば、2026年通年での倒産件数は170件に達する恐れがあります。今後は、元請け企業と下請け企業の間での適正な価格交渉の徹底や、適切な工期設定が不可欠です。

さらに、日本の建設技術を支えてきた「鳶の伝統技法や現場ノウハウ」を途絶えさせないために、若手層への魅力発信やデジタル化(DX)による業務効率化、小規模企業に対する行政や業界ぐるみの支援体制整備が強く求められます。

6. 読者が知っておきたいポイント

注文住宅の購入やリフォーム、不動産契約などを検討している方が注意すべき身近なポイントです。

チェックしておきたい点:
  • マイホーム建設や大規模修繕を依頼する際、工期の遅れや予期せぬ費用の見直しが起きないか施工会社に確認する。
  • 下請け業者への無理な価格叩きがないかなど、持続可能な施工体制を整えているハウスメーカーや施工事業者を選ぶ視点を持つ。

7. よくある質問(FAQ)

鳶工事業の倒産急増に関して、よく検索される疑問をまとめました。

Q1. 鳶工事業の倒産はいつから急増していますか?
A. 2026年1〜8月期において、前年同期比26.4%増の110件を記録しました。1〜8月の集計で100件を超えるのは2010年以来、16年ぶりとなります。
Q2. 主な倒産理由は何ですか?
A. 売上不振や赤字累積による「業績不振」が9割超を占めます。背景には、求人倍率7.94倍に伴う深刻な人手不足・人件費高騰や、資材費上昇を価格転嫁できない構造的課題があります。
Q3. 今後、住宅建設や工事にどのような影響が出ますか?
A. 足場や骨組みを担う職人が不足することで、工事全体のスケジュール遅延や、人件費・施工費増加による建築価格の上昇につながる可能性があります。
Q4. どのような企業が特に影響を受けていますか?
A. 倒産企業の約9割が資本金1,000万円未満、従業員10人未満の小・零細企業です。大手企業が増収増益となる一方で、価格交渉力の弱い小規模層の赤字割合が高くなっています。

8. まとめ

  • 2026年1〜8月の鳶工事業の倒産は110件となり、過去最多の年間170件ペースに迫る。
  • 求人倍率7.94倍の猛烈な人手不足と資材高騰が、小・零細事業者の経営を圧迫。
  • 業界全体は増収増益でも、小規模事業者の約4割が赤字となる「業績の二極化」が進行。
  • 技術伝承や適正な施工価格設定など、業界全体での支援と構造改革が急務。

建設現場の基礎を築く「鳶職人」の危機は、単なる一業界の衰退にとどまらず、社会インフラや私たちの暮らしの安全を守る土台が揺らぎかねないことを示しています。

現場で汗を流す技能者が正当に評価され、安心して技術を継承できる環境づくりは、これからの日本社会全体にとって避けて通れない重要な課題です。

私たちが目にする街のビルや住まいがどのように作られているのか、その陰で支える職人たちの労働環境に目を向けていくことが求められています。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

PR

※当ブログは英会話教室「NOVA」とは一切関係ありません。ブログ名、ドメインに含む「nova」は偶然の一致です。

【PR】以下には広告が含まれます。
この記事で得られる情報