和菓子店の倒産が過去最多ペース 原材料高と老舗苦境の背景

当ページのリンクには広告が含まれています。
novaステージ リスクニュース nova11のロゴバナー画像

PR

2026年、和菓子店を取り巻く経営環境が厳しさを増しています。帝国データバンクによると、2026年1~9月に発生した「和菓子店」の倒産は22件に達し、前年を上回って過去最多を更新するペースとなっています。

小豆や砂糖、もち米などの原材料価格だけでなく、包装資材、光熱費、人件費も上昇。一方で、和菓子は値上げによって客離れや販売数量の減少が起きやすく、十分な価格転嫁が難しいという問題があります。

さらに、顧客の高齢化、贈答需要の縮小、職人の高齢化や後継者問題も重なっています。なぜ老舗を含む和菓子店の倒産が増えているのか、数字と経営環境から整理します。

この記事の要点

  • 2026年1~9月の和菓子店の倒産は22件
  • 2025年を上回り、過去最多を更新するペース
  • 2020年以降の倒産138件のうち、業歴100年以上が24件
  • 業歴50年以上の和菓子店が全体の半数を占める
  • 原材料高に加え、価格転嫁の難しさや後継者問題が経営を圧迫
詳しく解説

和菓子店の倒産が2026年に過去最多ペース

2026年に入り、地域で長く営業してきた老舗を含め、和菓子店の倒産が目立っています。単純な販売不振だけではなく、原材料高や価格転嫁の難しさ、後継者問題など複数の要因が重なっている点が特徴です。

1~9月だけで22件が倒産

帝国データバンクによると、2026年1~9月に発生した「和菓子店」の倒産は22件でした。対象は負債1000万円以上の法的整理です。

すでにこれまで最多だった2025年を上回っており、このまま推移すれば2026年は過去最多となる可能性があります。

2026年の和菓子店倒産動向
項目 内容
集計期間 2026年1~9月
倒産件数 22件
集計対象 負債1000万円以上・法的整理
特徴 2025年を上回り過去最多更新ペース

なぜ和菓子店の経営が厳しくなっているのか

倒産増加の背景には一つの原因だけではなく、原材料やエネルギー価格の上昇、販売価格への転嫁の難しさ、需要構造の変化などがあります。特に小規模な店舗ほど複数のコスト上昇が同時に発生した場合、収益確保が難しくなると考えられます。

小豆・砂糖・もち米など原材料価格が上昇

和菓子に欠かせない小豆、砂糖、もち米などの原材料価格は上昇傾向が続いています。

しかし、店舗の負担増は原材料だけではありません。包装資材や光熱費、人件費なども上昇しており、製造から販売まで幅広い部分でコスト負担が重くなっています。

和菓子店を圧迫する主なコスト
小豆・砂糖・もち米などの原材料費に加え、包装資材、光熱費、人件費など幅広い経費が上昇しています。

値上げすると販売数量が落ちるジレンマ

コストが上昇した場合、通常は販売価格への転嫁が経営を維持するための選択肢となります。しかし、和菓子では価格転嫁が簡単ではありません。

日常の茶請けや地域の手土産、贈答品などとして購入される機会が多く、価格が上がることで消費者が購入回数や購入数量を減らす可能性があります。

実際、値上げに踏み切った店舗のなかには、その後に来店頻度の低下や販売数量の減少に直面し、原材料価格の上昇分を十分に販売価格へ転嫁できなかったケースもあるとされています。

「値上げできない」ことが大きな問題
価格を据え置けば利益が減少し、値上げすれば販売数量が減少する可能性があります。コスト上昇局面では、この構造が経営を一段と難しくします。

老舗和菓子店の倒産が目立つ理由

今回の動向で特に注目されるのが、長い歴史を持つ老舗の倒産です。知名度や地域でのブランド力があっても、それだけで事業を維持することが難しくなっている状況が数字にも表れています。

業歴100年以上の店舗が17.4%

2020年以降に発生した和菓子店の倒産138件を業歴別に見ると、業歴100年以上の店舗が24件あり、全体の17.4%を占めました。

さらに業歴50年以上まで広げると、倒産した和菓子店の半数に達します。長期間営業を続けてきたことが、必ずしも現在の厳しい市場環境に対する強さにつながっていないことがうかがえます。

2020年以降の和菓子店倒産138件
業歴 倒産状況
100年以上 24件・17.4%
50年以上 全体の半数

地域で知られた店舗でも経営が行き詰まる

2026年には、長年地域で親しまれてきた和菓子店の倒産も発生しました。

看板商品「加賀の巻絹」で知られた高砂屋(石川)や、「よこすか焼き」などを販売していたいづみや(神奈川)が破産しています。

人口減少や消費者ニーズの変化に加えて、原材料価格の上昇による採算悪化などが重なったとされています。

和菓子を取り巻く需要そのものも変化

コスト増加だけでなく、和菓子を購入する消費者側にも変化が起きています。特に若年層、贈答需要、冠婚葬祭などを取り巻く生活様式の変化は、従来型の和菓子店に影響を与えています。

若年層の和菓子離れと顧客の高齢化

和菓子業界では若年層の和菓子離れが指摘される一方、主な顧客層の高齢化も進んでいます。

さらに冠婚葬祭の簡素化や手土産需要の減少などによって、従来の重要な販売機会だった贈答向け需要も縮小傾向にあります。

長年同じ地域で営業してきた店舗にとって、既存顧客の減少を若い世代の新規顧客で補えるかどうかは、今後の重要な課題といえます。

職人の高齢化と技術承継も深刻な課題

和菓子店は製造技術を持つ職人への依存度が高い業種です。そのため、経営状態だけではなく「誰が作り続けるのか」という人材面の問題が、事業継続を左右するケースがあります。

売れる商品があっても作り続けられない

菓子職人の高齢化によって従来の生産量を維持できなくなったほか、職人の引退などをきっかけに事業継続が難しくなるケースもみられます。

和菓子には長年の経験によって培われる製造技術も多く、後継者を確保するだけでなく、技術を次世代へ継承する時間も必要になります。

経営と技術承継の二つの問題
和菓子店では「利益を確保できるか」という経営面だけでなく、「技術を受け継ぐ人材を確保できるか」という事業承継の問題も重要になっています。

設備投資と借入金返済も経営を圧迫

店舗や工場への設備投資は事業を成長させるために必要となる場合がありますが、売上が想定通りに伸びなければ固定的な負担となります。さらにコロナ禍に借り入れた資金の返済も重なっています。

複数の負担が同時に重なる構造

和菓子店の経営環境を見る際には、原材料高だけに注目するのではなく、店舗や工場の新設に伴う設備投資負担、借入金の返済、人件費などを合わせて考える必要があります。

売上を確保していても、利益率が低下するなかで返済や固定費の支払いが続けば、資金繰りが厳しくなる可能性があります。

特に価格転嫁が十分に進まない状態では、売上高だけでは実際の経営状態を判断しにくくなります。

倒産を回避できた可能性はあったのか

個別企業の経営状況はそれぞれ異なるため、「この対策を取れば倒産を防げた」と断定することはできません。ただし、今回示された業界環境からは、経営リスクを抑えるために重要と考えられる方向性が見えてきます。

一律値上げだけに頼らない価格戦略

原材料費の上昇に対応するには価格改定が必要になる場合がありますが、値上げによって購入頻度が低下すれば売上全体が減少する可能性があります。

そのため、すべての商品を同じように値上げするだけでなく、商品の構成や容量、付加価値、販売方法などを見直しながら、利益を確保する方法も検討課題になります。

店舗販売以外の販路を持つ

店舗への来店客だけに依存しない販路の確保も、事業継続の一つのポイントになっています。

実際に、コンビニやスーパー向けのOEM製造、ネット通販、ふるさと納税などへ販路を広げ、売上を伸ばしている和菓子店もみられます。

経営改善につながる可能性がある取り組み
店舗販売に加え、ネット通販、ふるさと納税、OEM、観光需要など複数の販路を持つことで、特定の顧客層や地域需要への依存を抑えられる可能性があります。

「ネオ和菓子」など新たな需要開拓も

和菓子業界すべてが縮小しているわけではありません。従来とは異なる商品や販売方法によって、新しい顧客を獲得する動きも出ています。

若年層や観光客を取り込む店舗も

観光地ではインバウンド需要を取り込む店舗があるほか、写真映えや新しい食感を意識した商品によって若い顧客層を開拓する例もあります。

あんことチョコレートを組み合わせた「ネオ和菓子」、フルーツ大福、わらび餅など、従来の枠にとらわれない商品開発も新しい需要につながっています。

伝統的な味や技術を守りながら、現在の消費者が求める商品や購入方法を取り入れられるかどうかが重要になっていると考えられます。

今後の和菓子店経営で注目されるポイント

2026年の倒産増加は、和菓子業界が大きな転換期にあることを示しています。今後は伝統や知名度だけでなく、収益構造や販路、商品開発、事業承継まで含めた対応が求められそうです。

「老舗だから安泰」とはいえない時代へ

2020年以降の倒産で業歴50年以上の店舗が半数を占めていることは、長い歴史を持つことだけでは現在の経営環境を乗り切れない可能性を示しています。

一方で、長年培った技術やブランド力そのものは、他店との差別化につながる重要な資産です。

その強みを生かしながら、ネット通販、観光需要、OEM、新商品開発などを組み合わせ、従来とは異なる顧客との接点を増やせるかがポイントになりそうです。

和菓子店の今後を見るチェックポイント

  • 原材料高をどこまで販売価格へ転嫁できるか
  • 若年層など新しい顧客を獲得できるか
  • ネット通販など店舗以外の販路を拡大できるか
  • 職人や後継者を確保し技術を継承できるか
  • 設備投資や借入金返済を含めた資金繰りを安定させられるか

和菓子店の倒産についてよくある質問

今回公表された数字や背景をもとに、和菓子店の倒産について特に気になるポイントをQ&A形式で整理します。

Q1.2026年の和菓子店の倒産は何件ですか?
2026年1~9月で22件です。負債1000万円以上の法的整理を対象とした集計で、過去最多を更新するペースとなっています。
Q2.なぜ和菓子店の倒産が増えているのですか?
小豆や砂糖、もち米などの原材料価格の上昇に加え、包装資材、光熱費、人件費の上昇、価格転嫁の難しさ、需要減少、職人の高齢化や技術承継、設備投資や借入金返済など複数の要因が重なっています。
Q3.老舗和菓子店も倒産しているのですか?
はい。2020年以降の倒産138件のうち、業歴100年以上の和菓子店が24件で17.4%を占めました。業歴50年以上まで広げると全体の半数となっています。
Q4.和菓子店に成長の余地はないのでしょうか?
一概にはいえません。観光地のインバウンド需要、OEM、ネット通販、ふるさと納税、「ネオ和菓子」やフルーツ大福などの商品開発によって、新たな顧客を獲得している店舗もあります。

まとめ|和菓子店の倒産増加が示す業界の転換点

2026年1~9月の和菓子店の倒産は22件となり、過去最多を更新するペースで推移しています。

背景には小豆、砂糖、もち米などの原材料価格上昇だけでなく、包装資材、光熱費、人件費の上昇があります。その一方で、値上げによって来店頻度や販売数量が低下する可能性があり、十分な価格転嫁が難しいという問題があります。

さらに、若年層の和菓子離れ、顧客の高齢化、贈答需要の縮小、職人の高齢化と技術承継、設備投資や借入金返済なども経営を圧迫しています。

今後は伝統を守るだけでなく、ネット通販やOEM、観光需要、新商品開発などを通じ、新しい顧客と販路を開拓できるかが事業継続の重要なポイントになりそうです。

伝統を次の世代へつなぐために

地域の和菓子店は、単に菓子を販売する場所ではありません。季節の行事や手土産、家族の思い出など、地域の暮らしとともに長い時間を歩んできた店も少なくありません。

しかし、100年以上続いた歴史があっても、原材料高や需要構造の変化、後継者不足といった現在の経営課題から逃れることはできません。

一方で、ネット通販や観光需要、新しい和菓子の商品開発など、伝統を残しながら販売方法を変える取り組みも始まっています。

受け継がれてきた味や技術を次の世代へ残せるか。そのために「変えないもの」と「変えるもの」をどう選ぶのかが、これからの和菓子店にとって大きなテーマとなりそうです。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

PR

※当ブログは英会話教室「NOVA」とは一切関係ありません。ブログ名、ドメインに含む「nova」は偶然の一致です。

【PR】以下には広告が含まれます。
詳しく解説