農水省がシャインマスカット栽培権供与を検討
農林水産省は、日本で開発された高級ブドウ品種「シャインマスカット」の栽培ライセンスをニュージーランドに供与する方向で検討を進めています。これは日本品種の海外での無断栽培・流通を防ぐための施策で、正式なライセンス供与はこれが初めてになる可能性があります。
反発する産地、山梨県が小泉農相に抗議
しかし、主産地である山梨県は猛反発。2025年9月25日、長崎幸太郎知事が小泉進次郎農相に直接面会し、ライセンス供与の見直しを強く要請しました。「現状では輸出もできず、同じ土俵で戦うことすらできない」と訴えています。
過去にも問題視された種苗の海外流出
シャインマスカットは1980年代後半から約30年かけて開発され、日本で高級ブドウとしてブランド化されました。しかし、種苗が中国や韓国などに流出し、東南アジア市場にこれらの国の品種が輸出される事態となっています。これにより、農水省は年間100億円以上の損失が出ていると試算しています。
農水省の狙いと供与先の選定理由
農水省は、海外での違法栽培を抑止する代わりに、正規のライセンス契約を通じて監視体制を整える方針です。供与を検討しているニュージーランド企業は、日本産の輸出先とは競合しないマーケット展開を目指しており、品種の質とブランド価値を維持しながら、年間通じた安定供給を確保する狙いがあります。
SNSでも賛否両論、輸出の体制整備を求める声も
SNS上では「ライセンス供与はブランド保護に必要」と理解を示す意見がある一方で、「国内農家が不利になるのでは」と懸念する声も見られます。山梨県は、植物検疫などの輸出障壁が高く、日本からの正式な輸出が進んでいない現状に危機感を抱いており、ライセンス供与より先に輸出インフラの整備を求めています。
今後の展望、小泉農相の発言に注目
小泉農相は「産地の理解が得られない中で海外供与は進められない」と発言。この方針転換により、シャインマスカットに限らず他品種への供与戦略も見直される可能性があります。今後の協議がどう進むか、農水省と産地の対話が注視されます。
- 農水省がNZ企業へシャインマスカット栽培権の供与を検討
- 山梨県が「不公平」として抗議、小泉農相に方針見直し要請
- 輸出が進まない中でのライセンス供与に懸念が広がる
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜシャインマスカットの栽培権を供与するの?
日本品種の無断栽培・流通を防ぐために、正規のライセンス供与で監視体制を整える狙いがあります。
Q2. 山梨県はなぜ反発しているの?
国産品の輸出が進まず、不平等な競争環境になると懸念しているためです。
Q3. 今後の海外供与はどうなる?
小泉農相は「産地の理解なしには進めない」と述べており、方針見直しの可能性もあります。
シャインマスカットの海外栽培権を巡る今回の議論は、日本農業の国際展開と知財保護のバランスをどう取るかという難題を浮き彫りにしました。今後は農水省と産地が協力し、輸出環境整備とブランド価値の保護を両立させる道筋が求められます。